Raging Speedhorn
昨年の初来日の衝撃がいまだ冷めやらぬなか、ついにヤツらが帰って来た! いまや
本国イギリスのロック・シーンにおいてもデッカい〈顔〉になりつつあるレイジング・
スピードホーン。ブリティッシュ・ロック伝統のヘヴィーなギター・リフを振り回し、
ツイン・シャウトが今日も吠えまくる。明日をサヴァイヴするために、この新作だけ
は聴いとかなくっちゃ!!
“The Hate Song”──〈憎しみの歌〉と題された1分50秒の爆音が鳴り響き、大地を揺るがせて、ふたたびやつらがやって来た。しかも前回以上に巨大なスケールの猛々しい角をそそり立てながら……。
昨年、エイメンのサポート・アクト、および〈Beast Feast〉で日本のラウド・ミュージック・ファンの前に姿を現わし、その強烈なパフォーマンスで会場中のオーディエンスの度胆を抜いてみせたレイジング・スピードホーン。地元イギリスでも人気と評価がうなぎ上り状態のなか、現在のバンドの勢いをそのまま反映させたような、さらに圧倒的なパワーを放つセカンド・アルバム『We Will Be Dead Tomorrow』がいよいよ完成した。このブッ飛んだ新作についてヴォーカルのフランク・レーガンはこんなふうに語る。
「今回のアルバムは、前作に比べて制作環境にずいぶんと変化があったことは確かだね。曲を書くのにも前作よりずっと時間をかけたしさ。前作からこの新作の間に、俺らは大きな岐路に立った。神の選択とでも言うか……そこで正しい道を選ぶように努めたよ。それで今作は、とにかくサウンドをより良いもの、迫力のあるものにするぞっていう意識を確実に働かせながら作ったね」。
また、レイジング・スピードホーンのウリはなんといっても、フランクとジョン・ルーグリンの2人が交互に(時には同時に)怒濤の咆哮をあげるツイン・ヴォーカル編成だが、お互いを煽り、サポートし、ついには一体化して聴き手に襲いかかるコンビネーションは、ニュー・アルバムにおいてもますます冴え渡っている。
「やり方はこれまでと同じだけど、俺らがヴォーカリストとして進歩したから。スクリームばかりじゃイヤだっていうリスナーの意見も参考にして……いや、まだスクリーミングもバリバリにやってるけどさ(笑)。でもスクリーム以外の部分に関してもこだわって、時間をかけてやれたから、それは良かったと思うよ」。
歌い方だけでなく歌の内容も進化している。以前フランクは「デビュー作では、個人的にためこんでいたフラストレーションがストレートに歌詞に表れてたけど、次の作品はもっと幅広い感情を歌うことになると思う」と発言していたが、その言葉どおり、周囲の環境の激変は必然的に楽曲のテーマを広げることになった。
「今作のナンバーは〈楽しい時間を過ごそう〉ってタイプの歌詞ばかりだよ。ロードに出てる時のこととかね。まあ、いくつか過去に起こったクソみたいな事件を書いた曲もあるけど。音楽ビジネスの大半もクソだしさ。ちなみに“Heartbreaker”って曲は、ジョンの元ガールフレンドについての歌で、彼女も気に入ってた曲なんだけど、部分的にはセックスの話で……つまりは去年のジョンのライフを反映してるんだ。そういう意味では、いろんなヴァリエーションが詰まってるよ。ま、最終的に歌詞カードで読むとバカっぽいものだってことだけは確かだね(笑)」。
アルバムを聴いていると、さらにデカくなった彼らの勇姿を一刻も早く生で拝みたくなるのだが、嬉しいことに今年の夏の〈サマー・ソニック〉に出演することが早くも決定済み。そこで、去年の〈Beast Feast〉とは打って変わって、復活ガンズ&ローゼズからモリッシーまで幅広い出演者が登場するフェスへと殴り込みをかけるにあたり、ひとつ意気込みとファンへのメッセージを頼んだところ、返ってきたのは実に彼ららしい一言だった。
「どんなライヴをやるかなんてプランは何もないよ。俺たちはただ出てプレイするだけさ(笑)。日本のリスナーへのメッセージは、〈ライヴを観に来い! アルバムを買え!〉ってこと(笑)」。