インタビュー

Carole King

キャロル・キングの新作『Love Makes The World』から、あの優しい歌声が降り注ぐ


 また新しく始まったキャロル・キング・ミュージック。その変わらないフル・スマイルさながらに、定番『Tapestry』のあの感触、手触りが無性にうれしい新作『Love Makes The World』は、自身で立ち上げたレーベルからのお目見えです。

「本当の意にかなったものを自由に作りたかったから。レーベル名は〈ロッキンゲール〉。〈ナイチンゲールがロックしている〉なんてイメージがあるみたいだけど、それも正解ね。もうひとつはキャロル・キングの綴りの並び替え。なかなか遊び心があるでしょ」。 

 だから、ベイビーフェイス、セリーヌ・ディオン、KDラング、ウィントン・マルサリス、デヴィッド・フォスターなどとの夢の共演も、「私が自分の気持ちのままに動いて実現したごく自然なコラボレーションなのよ。仕組まれたお膳立てとは雲泥の差があるの」。

 というわけで、そこにはひとつのヴィジョンと2人のキャロルの純粋な意志が働いたのでした。

「これを作りましょうって最初に言い出したのはキャロル・ベイヤー・セイガー。私とは別のスタイルを確立しているアーティストとコラボレーション・アルバムを作ってみるよう勧められたの。彼女とは長年の知り合いなのよ。2人ともアルドン・ミュージックで曲を書いていたから。ブリル・ビルディングの時代なんだけど、実際は私たち、ブリル・ビルディングではいっしょに働いたことはないの(笑)。それで数年前に再会した時、いっしょに曲を書かない?って誘われて」。

 つづれ織られていった生成りのメロディーとピアノと歌声。その瑞々しさといったらあのころの夢見るソングライター時代そのまま。いつも心に太陽を、何度でも若返るキャロル・キング・ミュージック。聴き込むほどに馴染んでくるけれど、決して古びたりはしない新鮮な輝きがたまらなく嬉しいのです。ゆえに、飾らない真心は世代を超えて万人に届くという。変わらぬ良さをいつまでも。とくにこんな時代だからこそ、ですね。

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掲載: 2002年08月01日 11:00

更新: 2003年02月13日 12:15

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/萌木 里