インタビュー

GAGLE

たくさんのクリエイティヴィティーを提示してみせるファースト・アルバム『3 MEN ON WAX』


 地方勢の台頭により日本ヒップホップ勢力図の大幅な書き換えを迫られた2001年、EP『BUST THE FACTS』と安定したライヴ・パフォーマンスで高い評価を獲得した仙台出身のヒップホップ・トリオ=GAGLEは、餓鬼レンジャーと共にその象徴的な存在に挙げられるだろう。

「ライヴでちょっとずつ認知度を高めていった感じ……圧倒的に増えましたね、ライヴの数は」(DJ MU-R、DJ)。

「ツアーなどでいろいろな人や物に触れる機会が多くなって、考え方が少し広くなりましたね」(HUNGER、MC)。

 精力的なライヴ活動によって現在の地位を築き上げた連中らしく、その包容力に溢れたステージの模様を伝える“G・A・G・L・E”で幕を開ける待望のファースト・アルバム『3 MEN ON WAX』。ここには、さまざまな景色を目の当たりにしてきたことにより、さらにタイトに結ばれた3人の逞しい姿が刻み付けられている。

「前に比べて、各自がGAGLEに寄り添っている感じはありますね。話し合ったわけではないんですけど、自然にそうなってる」(DJ Mitsu the Beats、MC)。

『3 MEN ON WAX』が醸す鷹揚さは、グループの精神的成長からきているのはもちろん、徹底してファンキーな装いで凝らされた楽曲群による部分も大きいのだろう。その肉感的な佇まいは、GAGLEに与えられた〈ジャジー〉なイメージを覆すことになるかもしれない。

「いろいろな曲を入れたいっていう気持ちが強かったです。EPでは自分たちの幅を見せることができなかったから……〈ジャジーなGAGLE〉とか、イメージが固まるのは好きじゃないんですよ」(Mitsu)。

 みずからの可能性が次々と拓けていく喜び──自分たちの音楽を初めてアルバムという形で表現した経験は、かえって創作意欲を掻き立てる結果へと繋がったようだ。

 「新しいものを作り上げる喜びに心が奪われっぱなしみたいな……俺たちの作ったものが音楽だなんて信じられないよなぁ? よく考えたら」(HUNGER)。

「全然違うタイプのアルバムを作れる自信はある」(Mitsu)。

 不敵なまでに頼もしく、そして強靱な3人組である。 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年08月22日 00:00

更新: 2003年02月10日 12:57

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/高橋 芳郎