インタビュー

POLYSICS

ネクスト・ステージ突入を高らかに宣言するアルバム『FOR YOUNG ELECTRIC POP』


出た! そんな気合い入れて言わなくたって、このページをめくっただけでもPOLYSICSの新作が出たってことぐらいは察しがつく? たしかに。とはいえ、彼らにとってホントに〈NEW〉な感覚のアルバムが出た!って感じなんですよ、今回は。

「〈NEW〉な感覚っていうのは自分でも思う。(2000年の)『NEU』は、あのときあれを作りたくてしょうがない自分がいて……ホントそれだけで作ったようなアルバム。ロックとは?みたいなところを意識したぶんハッチャケてるアルバムだけど、あとで聴くとちょっと恥ずかしいなって思うところもあって。(2001年の)『ENO』は、それに対しての反発とか言い訳(笑)。〈ニューウェイヴ〉っていう言葉が本来もってる強さみたいなところをあらためて意識したりして。その点、今回は、やってることはそんなに変わってないようなんだけど(笑)、いろんなものがクリアになって、それで出来た感じはする」(ハヤシ、ギター/ヴォーカル/プログラミング:以下同)。

で、その〈NEW〉アルバム『FOR YOUNG ELECTRIC POP』は、これまでPOLYSICSの音楽を語るうえでの必須キーワード――ニューウェイヴとかガレージとか――が見事に昇華され、もはや〈何と何の掛け合わせ〉みたいな言い表し方を無意味にするほど、己のサウンドに仕上がっている。タイトルも、記号的なものが多かったPOLYSICSからしては珍しく、なんらかの大きな意味を持っているかのような……。

「同タイトルの曲は、デモを作ってるときから〈1曲目だな〉っていうモードになっていて。で、全部出来上がって、アルバム・タイトルをどうしようかってみんなで考えていたときに、〈結局、POLYSICSってどうなんだよ〉って話になって。で、要はこういうことなんじゃない?って。このタイトルをつけることによって、細かいカテゴライズを抜きにしてPOLYSICSの音楽はコレ!みたいな感じを出せた」。

充実の出来上がりとなったからこその、大きな意思表明を含めたタイトル。POLYSICSは、確実にワンランク上のレベルで音楽を鳴らし始めたのである。

「それは自分でも感じてる。〈抜け出した〉感じというか。いま、やりたくてしょうがないアイデアがいっぱいあるし、まだまだこんなもんじゃない、って感じ」。

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掲載: 2002年08月22日 00:00

更新: 2003年02月10日 12:53

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/久保田 泰平