インタビュー

PUSHIM

レゲエを通じて強さと優しさを伝えてきたPUSHIMが新作『Pieces』をリリース! さらなる成長を遂げた、まさにマスターピースだ!!  


 PUSHIMから届けられた約2年ぶりのニュー・アルバム『Pieces』。考えてみれば、みずからドップリとR&Bテイストに染まってみせたミニ・アルバム『Pak's Groove』が2002年にリリースされていたとはいえ、フル・アルバムとしては2001年の『COLORS』以来、約2年ぶりのアルバムだ。その間にもコンピ『MUSIC IS MYSTIC』のプロデュース(自身も参加)、またRhymester『ウワサの真相』やcembalo『ORGANIC COLORS』に参加するなどPUSHIMの存在感が薄れることはなかった。

「でも、そのころ心身共にあんまり調子良くなかったんですね、私自身が。東京に引っ越ししてきて、いろいろ考えて。もちろん寂しいって思ったときもあった。でもこの気分から脱却するにはやっぱり私には歌しかないって逆に思って」。

 そんな昨年の夏にリリースされたのが、新作にも収録されているシングル“Forever”。PUSHIMみずから「“Forever”があったから去年の夏はとても幸せでしたね。この曲はホントすごいですね、自分のなかでも」というだけあってこの曲は力強い。だが、全14曲すべてが“Forever”に負けない光を放ち、グイグイとアルバムのなかへと引き込まれていくのだ。

「いつも捨て曲は作らないんですよ。全部シングルのつもりで作ってるし。なんかアルバムなのに飛ばされたりするのイヤじゃないですか(笑)。私的には『COLORS』以上にいろんな色が詰まってると思ってて」。

 これまでと同じく、さまざまなゲスト陣はその色彩をさらに魅力的なものに染めあげていく。そのメンツはスティーヴン“レンキー”マースデン、スティーリー&クリーヴィー、Home Grown、MOOMIN、MIGHTY JAM ROCK、森俊也(ROCKING TIME)、PAPA Bなどなど、現在のレゲエ・シーンの中心で活躍する連中ばかり。だが、そんな個性的なゲストのなかにあっても、PUSHIMの歌声はそう簡単には吹き飛ばされやしない。それどころか、ドッシリと真ん中で微笑んでいるかのようだ。その安心感……そう、〈安心感〉はこれまで以上。〈スケールアップ〉という言葉が大袈裟ならば、これはきっと〈成長〉っていうことなんだろう。その成長とはきっとこんな意味だ。

「今回のブックレットに一言書いたんです。〈人に愛し愛されることが私になっていく〉って。このアルバムのなかの一曲一曲が私の一部なんですよね。だから『Pieces』ってアルバムにまとまってはいるんだけど、エンドレスに次のアルバムも作っていくし、私の歌は続いていく」。

 アルバムの最後を締めくくるのは、これまた感動的な“And Ever”。

「“And Ever”は〈私はいつでもここにいるから帰っておいで〉っていう歌。だからこの曲は〈I Love You〉って言いたいんだけど言えなくて、その代わりに〈いつもここにいるよ〉って言ってるんですね。ここでいつも待ってるし、いつでも帰ってらっしゃいっていう」。

『Pieces』はグッとくる。そして、いつでも戻ってきたくなる。そんなアルバムだ。最後にこんな質問を投げかけてみた。シンガーとしていちばん大切にしていることって?

「うーん、人に与える安心感かな。プライヴェートではぜんぜん安心感がないかもしれないけど(笑)。シンガー・PUSHIMとしては、ね。逆に言えば〈自分への自信〉というか。だってこんな歌を歌ってるのにね、ビクビクしてたらそれこそリアリティーがなくなるし。だから、私のメッセージはすべて〈大丈夫、大丈夫!〉ってことなんです。〈大丈夫だよ、うまくいくから。Everthing's Allright!〉って。だから、日常では自分に〈大丈夫、大丈夫!〉って言ってるんですけどね(笑)」。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年03月06日 13:00

更新: 2003年03月06日 16:25

ソース: 『bounce』 240号(2003/2/25)

文/大石 ハジメ

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