優しく、力強く、生々しい……。 02~03年産の、〈味〉で〈女性的〉なポップ盤をホールド・オン!
aiko
『秋 そばにいるよ』 (ポニーキャニオン)
親しみやす~いポップ・ソングを親しみやす~い顔して歌いながらも、歌のそこかしこに女性特有の情念やら愛欲やらを深~い色合いで染み込ませているaiko。こういう女子を男子は好まざるをえない。「なんであんなにエロいの?」とYUKIも羨んでおりました。(久保田)
宇多田ヒカル
『DEEP RIVER』 (東芝EMI)
『First Love』から『Distance』、そして辿り着いた『DEEP RIVER』が分かつ、個と個、生と死、あるいは男と女……。それらを繋ぐHIKKIのうた。本人いわく〈20歳はイケイケ!〉……だとしても、無鉄砲に進めるのはいつだって男、 守るのが女じゃない?(小野田)
カヒミ・カリィ
『Trapeziste』 (ビクター)
カヒミ・カリィという女性は、〈渋谷系〉やら〈おフレンチ〉といった衣装を着こなしたプラスティック・ドールかと思ってた……なんて浅はかな考えもふっとんだ、本能丸出しの最新アルバム。目を凝らして(耳をすまして)みると、意外にもふくよかな手触りが。(久保田)
クラムボン
『id』 (ワーナー)
かつては、性的衝動とは無縁の優等生的印象もあったクラムボン、というか原田郁子。しかし、前作『ドラマチック』や本作で聴かせる声、息遣いから感じられる色めき加減や、優しさといったら。時折、母のような安心感も垣間見せるあたり、実は姉御肌か。(久保田)
bird
『極上ハイブリッド』 (ソニー)
恍惚の『MIND TRAVEL』の先にあった極楽、極上のハイブリッド。快楽に終わりはないというけれど、巣立った鳥は空高くどこまでもどこまでも昇り詰める。“私的パートナー”から“さらば”、つかの間のひとときは夜ごと花開く。(小野田)
bice
『let love be your destiny』 (徳間ジャパン)
制作の場がマイホームに移ったことによって、いい具合のユルさを醸し出す本作は、耳掃除したり爪を切ったりしてるときに、傍らで鳴らしたい。〈いくら家のなかでも下着姿は……〉などととがめるどころか、こっちも一枚脱ぎたくなるぐらい気を許せる一枚。(久保田)
wyolica
『Folky Soul』 (エピック)
添加物ゼロの心配りがなによりうれしいwyolicaのセルフ・カヴァー集。〈フォーキー〉といえば、マザー・アース『People Tree』を思い出すけど、母なる大地の恵みはazumiの歌声にも宿る。素材を生かした6曲はそのまま味わって食すべし。(小野田)
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2003年03月27日 15:00
更新: 2003年03月27日 15:52
ソース: 『bounce』 241号(2003/3/25)
文/小野田 雄、久保田 泰平