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インタビュー

YUKI(2)

歩くような感じ

 さて、そんな“スタンドアップ!シスター”でのひらめき(!)が反映されたと思われる『commune』には、『PRISMIC』とは(当然ながら)違った空気がそこかしこに流れている。曲ごとで違ったプロデューサーを起用していた『PRISMIC』に対し、『commune』では、前作からの日暮愛葉、會田茂一(こちらがほとんど)のふたり。曲提供したアーティストのなかには、スネオヘアーやキセルといった新鋭たちもいて……と、実際、アルバムに携わったアーティストの顔ぶれも違うわけだが。

「今回はメロディー重視。なんか〈いいメロディー歌いたい!〉って思うようになってきてて。で、“スタンドアップ!シスター”で〈これはいい曲だ!〉ってなってね、じゃあ〈いい歌〉のアルバムを作ろうってことになって。あと、今回は〈歩くような感じ〉っていうのが頭にあったんですよ。『PRISMIC』のときは勢いづいてたところもあったんだけど、それはツアーでも出し切っちゃった感じで、家に帰って来てからは、ホントゆっくり……」。

 その〈歩くような感じ〉という言葉を耳にしたとき、すぐさま彼女のおなかに視線を注いでしまった。YUKIのそういった心理は、彼女のなかで育まれている新しい生命になにかしら影響されているのではないかと、ついつい……。

「でも、妊娠したことが作品に表れたって感じはしないんですよね。うん、不思議なぐらい。でも、ソロになってから作品と〈生活〉は近くなってるとは思う。アルバムを聴いて〈健康そうですね〉とかっていう感想を言われたりするし、実際に健康的な生活送ってるし。夜12時には寝てるぞ!って(笑)。マタニティー・アクアにも週2で通ってるんで、いま〈健康ハイ〉なんですよね。不健康さに憧れてた時期は過ぎたかなあ」。

 新しい生命になにかしら影響……というのは深読みだったが、YUKIの心理は、人として女性として微笑ましい方向に向かっているのは確かだ。

「夫婦でもよく話すことなんですけど、〈心の時代〉というか〈心のケアの時代〉になっていくと思うんです、もっと。資本である身体と心って切り離せないということがわかってきたというか、そこにみんなもっと気付いていく。それを音楽家たちが先に先にやっていくと、音楽で心を豊かにすることがもっともっとできるだろうね、って」。

 最後に、この見開きページを分け合っているCHARAとYUKIの共通点を訊いてみると、こんな答えが返ってきた。

「幸せなところ、だと思いますよ」。

▼YUKIの作品を紹介。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年03月27日 15:00

更新: 2003年03月27日 15:52

ソース: 『bounce』 241号(2003/3/25)

文/久保田 泰平

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