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インタビュー

Baby&CIDER

甘酸っぱい学園ソングを満載して、ふたりのオトナがバック・トゥ・青春!!


 80年代ニューウェイヴ・バンドのようなチープなジャケットに踊る〈放課後ロック〉なる文字……本気なのかギャグなのかわかりませんが、ワタナベイビー(ex.ホフディラン)とかせきさいだぁ≡の二人がまたオモロイことを始めたのは事実です。

「結成のきっかけが“あぶない☆カリキュラム”という曲で、〈21世紀のイモ欽トリオ〉みたいのを作ろうっていう。それからなんとなく〈学生っぽく〉っていうのが出てきて」(かせき)。

 ほかにはC-C-B、プラスチックス、大瀧詠一、RCサクセションなどの名前が脳裏に浮かんでは消えるBaby & CIDERのファースト・アルバム『BACK TO SCHOOL』。ラップを封印して全編大マジで歌いまくるかせきさいだぁ≡も新鮮だけど、ベイビーによる、ほぼベースとリズム・トラックのみのデモテープで構成されたサウンドのスカスカなチープ感が、ある意味パンクです。

「とにかく僕が一人きりで録ったデモテープをかせきがすごく評価してくれる。スタジオであらたまって録ったテイクよりも、家で好きにやってるときの瞬間を感じとるのが非常にうまくて。だからスタジオで録ったのは1曲だけ」(ベイビー)。

「ローランドのTR-606とベイビーのベースがあればもういいですっていう。天才だよ、あのベースは。本当に歌ってるベースで気持ち良くてもう」(かせき)。

 学園モノのマンガを読んでるようなかせきの秀逸な歌詞も相まって、甘酸っぱさと笑いのツボを押しまくりながら、聴き進むうちに〈これって大の大人二人の妄想なんだよな……〉という哀しみも頭をもたげてきまして。もしかして本作の本質はそこかもと思ったりもします。

「文科系の音楽やってる奴の妄想みたいな感じは最初に考えてましたね。クラスで一学期はあんまり話してなかったけど、二学期から〈音楽好きなんだ!?〉って話して友達になった奴と、〈僕はちゃんとラップやってみたいんだけど、こういう曲しか作れない〉つって演ったみたいなものになったらきっとおもしろいだろうなって。だからかなり切ないんですよ、このアルバム。学生時代エンジョイできなかった奴がいつまでも夢を求めんのかなっていう(笑)。そんな結論出しちゃっても寂しすぎる(笑)」(かせき)。

▼Baby & CIDERの関連盤を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月08日 13:00

更新: 2003年05月08日 17:08

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/内田 暁男