インタビュー

Leyona

燦々と輝く太陽のような歌姫=Leyona。オーガニックな歌声と、その魅力に集った気鋭のアーティストと共に生み出されたサード・アルバム『SunRoad』!


「今回は特に最初からコンセプトのようなものを設けずに、今の自分がやりたいことや、純粋に今の自分が聴きたいな、と思えるようなものを作ることができれば……と思って」。

 前作『Niji』から約1年8か月ぶりに届けられたLeyonaのサード・アルバム『SunRoad』。今作は、冒頭の発言からもわかるように、過去3作品のアルバムのなかでもっとも自然でフラットな状態のもとに制作されたという。だからこそ音楽に向けた彼女のひとかたならぬ愛情が、実に自然な浸透圧をもって聴き手の耳にスーッとスムーズに染み込んでくる。今や磐石のコンビネーションをみせる藤本和則や山本貴志(ROCKING TIME)といったお馴染みのメンバーに加え、Gラヴ&スペシャル・ソースのGラヴことガレット・ダットンや忌野清志郎など、〈この人なくして今のLeyonaは存在しなかった〉といっても決して過言ではない、まさに彼女にとってルーツ中のルーツというべきアーティストたちの参加も、今作を語る上での大きなポイントとなっている。

「Gとのセッションはセカンド・シングルの“The Beat Goes On”以来ですね。2人共楽しむのが好きだから、その場のノリを重視して。私が振るシェイカーの音から作った曲があったり、Gがそのまま日本語でコーラスしてくれた曲があったり。とにかく楽しかったですね。出し惜しみゼロ(笑)。〈楽しいものは楽しいまま、すぐにやっちゃおうよ!〉って」。

 まさに〈楽しんでナンボ〉といったリラックスした雰囲気のなか進められたというGラヴとのセッション。アルバム終盤に収録された“G+Leyona”では、2人の関係をジョン・レノン&オノ・ヨーコのそれと重ね合わせるようなフレーズがGラヴの口からふいに飛び出したりといった、なんとも微笑ましい一幕も。

「多分、Gの頭のなかで、真っ先に思い浮かんだアメリカ人と日本人のカップルがジョンとヨーコだったんでしょうね。〈ここはやっぱりジョンとヨーコだろ?〉みたいな。まあ、それもノリで(笑)」。

 アルバムからの先行シングルにもなった“500マイル”では、彼女が長らく憧れ続けてきた忌野清志郎とのセッションも、ついに実現!

「清志郎さんは近付けば近付くほど、リスペクトできる人。玉手箱とか宝箱のような人で、毎回、蓋を開けるたびにワクワクするんですよ。常に何かを企んでいそうなところが興味深くて。……でも、本当、私、幸せ者ですよね! 自分がやりたい音楽を、こんなにも自分がリスペクトする人たちといっしょに作り上げることができてるんだから」。

 偉大なる先達へのリスペクトを露にしながらも、なんら畏縮することなく、みずからが持つクリエイティヴィティーを全面的に発揮するLeyona。そんな彼女が今作に注ぎ込んだ、変わることのない普遍的な〈想い〉とは?

「やっぱり〈愛〉かなぁ。いっしょに演奏してくれたミュージシャンや私をいつも支えてくれる家族や友達とか。そうしたすべてに向けた愛を、今回のアルバムでは明確に歌いたいと思ったんです。それは音楽そのものに対しても同じで。私は、とにかく音楽で人生を変えられちゃった人だから、そこに向けた正直な想いや感謝を自然な形で伝えることができればと思って」。

 最後に『SunRoad』というアルバム・タイトルの由来を彼女の口から語ってもらうことにしよう。

「3年前にジャマイカに遊びにいった時、カリブ海で泳いでたら、水平線に向けてバーッて光の筋が見えたんです。それがめちゃくちゃ印象に残っていて。燦々と輝いてる太陽が、みんなの思い描く希望や理想だとしたら、今回のアルバムがそこへ向かう道しるべのようなものになればいいなと思って。それこそ、こういう生活を送っていきたいとか、もっと言っちゃうと〈今日は絶対にカレーを食べるゾ!〉とか(笑)。本当、何でもいいんですけど、聴いてくれた人が何かに向かって歩き出せるような、そんなキッカケを今回のアルバムを通して少しでも与えることができたら、本当に嬉しいですよね」。

▼ Leyonaのアルバムと最新の参加作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年09月25日 14:00

更新: 2003年09月25日 16:38

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/望月 哲