インタビュー

BBQ CHICKENS

並みならぬポップ感と尋常じゃないスピードでパンク/ハードコア・シーンを快走し続ける4羽の雄鳥が、〈オリジナル〉なカヴァー・アルバムを届けてくれたゾ!!


 Hi-STANDARDのKENが……とかなんとか、もはや説明要らずのBBQ CHICKENSが贈る3作目『Fine Songs, Playing Sucks』はズバリ、カヴァー・アルバムである。でも、なんでまたカヴァーなんだ?

「まず言っておきたいのは、これは企画盤ではなく、歴としたサード・アルバムであるということ。そこは、みなさんにしっかり認識しておいていただきたい点です。で、なぜ3枚目でカヴァー作なのか。それは、僕が大好きだから。ずっとやりたいと思ってたんですよ。それこそ、Hi-STANDARDでも。実は、2作目のときもメンバーに提案したんですよ。あえなく却下されましたけど(笑)」(KEN、ギター)。

 で、今回ようやく実現できたのは、いい〈タイミング〉だったから、だそうだ。

「HATANO(ドラムス)が別でやっているHAWAIIAN6と、BBQ CHICKENSの活動の兼ね合いを考えたとき、いまならカヴァー作を作れるだろう、ということで。裏番長のI.S.O.(ベース)からも許可が出たことだし(笑)」(KEN)。

「……いやいや(スマイル)」(I.S.O.)。

 本作の選曲には驚きを感じさせるものもあるかもしれないが、選曲者であるKENを知る人なら〈彼らしい〉と深く頷ける並び。彼と同世代の30歳前後の人なら、きっとニヤリしてしまうこと請け合いでもある。

「自分のなかで流行ってたり、いいと思えるものを選んだ感じです。で、結構外した曲も多かった。実際に合わせてみたら意外とフィットしなかった曲とか……」(KEN)。

「例えばフガジ、バッド・ブレインズ、ディセンデンツ……」(I.S.O.)。

「キッスやプライマル・スクリームもやったけど、僕らがやってもあんまオモシロくなかった。でもさ、何十曲と選曲してアレンジを練って、それをみんなに聴かせるでしょ。すると、〈ダメッ!〉って一瞬にして却下されることも結構あるわけですよ。ほんと、そのときの悲しさったらなかった。ガハハ(爆)。たしかに、ダメ出しされたものは良くなかったですけど」(KEN)。

 ファンにとっては、新作リリース時のお楽しみのひとつである、コスプレ・ショット。今回は、ご覧の通り〈セサミストリート〉。プロモ・クリップもこの格好で登場です。ちなみにKEN、I.S.O.ともに地毛だとか……。

「そういうのも決め事でやってるわけではなくて。顔や姿はどうでもいい、周囲からどう思われようと構わないということもあるけど、まずはみんなで集まってんだから、どうせなら楽しいことしたいじゃん!っていう。僕ら、日常的に馬鹿話をしていて、結局、そのとき話してるようなことを実践してるだけです。それは、人を楽しませてあげようということじゃなく、自分たちが楽しみたいっていうこと。BBQ CHICKENSは基本的に〈楽しむためのバンド〉なんで。心底楽しみたい。そう言うと、響きとしては軽く聞こえるかもしれないけど、言い換えれば、つまり、メンバーといい時間を過ごしたいんですよ。それができないなら、録音作業も作品作りも必要ない。ただ、いい時間を過ごせば、結果的にいいモノを残せるんですよね」(KEN)。

 当初から彼らが志している〈楽しいことをガッツリ〉という感覚は、ますます加速!

「ですね! 当初、〈楽しむ〉ことを意識していたのは僕一人だったと思うんです。実際、僕の別プロジェクト的な色合いも強かったし。でも、いまは4人が同じ感覚で、BBQ CHICKENSに向かってる感じ。BBQ CHICKENSは音じゃなく気持ち……いや、生活で繋がってるバンドなんです。音は真面目にカッコいいものを、そして、今後も全力で馬鹿やっていきますよ(笑)」(KEN)。

 たとえ彼らが〈セサミストリート〉の格好をしようが、その言動、そしてなによりも彼らの音を聴けば、戯けた格好でさえ〈クール〉って言えてしまえる。そう、つまり彼らの本質は、すべてその音のなかに存在しているのだ。全力疾走の〈馬鹿さ炸裂集団〉。そんな彼らの走りっぷりは、ほんとに最高なんです!

▼BBQ CHICKENSのアルバムを紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年10月30日 12:00

更新: 2003年11月06日 17:31

ソース: 『bounce』 248号(2003/10/25)

文/坪内 アユミ