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BAZRAをめぐる3つのキーワードを分析!

言霊――〈言葉に宿る不思議な力〉の意。熟語や特殊な言い回しが多いBAZRAの歌詞は、一読して明瞭なドラマが物語られていないようですが、その実、〈言霊〉と呼びたくなるような奇妙な〈主張〉に溢れています。ここで重要なのは、〈不思議な〉ではなく〈力〉。メンバーの表現力や活力に拮抗するだけの〈力〉ある言葉が、BAZRAの歌世界を形作っているのです。「わかんない言葉を全部並べても最終的に見えてくるものがちゃんとあって、そこを伝えたいと思ってる。言葉ひとつだけとっても〈わかんなくていいよ〉ってだんだん自信を持って言えるようになったから、説得力も増してるんじゃないかな」(井上)。それは、文脈の整合性を度外視したように絶妙な語呂合わせが為されたカタカナ語を多用しながら、物語性の高い歌世界を構築し得たミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケに通じるサムシングがあると思うのですが。

3ピース――ロック・ミュージックの最少編成は、ギター、ベース、ドラムス(ヴォーカルはいずれかが担当)による3ピースだと一般的には言われています。この形態は、各メンバーの力量と個性が露わにされやすく、演奏において得も言われぬ緊張感が醸し出される一方で、そのシンプルさゆえに、音楽が本来持っていた原初的な活力を表現するのにも適しています。ですから、3ピースというフォームは、幾多の名バンドを生み続けているのです。「ポリスですか? ポリスがペン画だとしたら、僕ら習字っぽいよね。ホントに好き勝手弾いてるから。よくまとまるよなあ」(井上)というBAZRAもまた例に漏れず、奇妙なテンションとエナジーを放出しています。

ワイルドで行こう――ステッペンウルフによる、68年の大ヒット・ナンバー。映画「イージー・ライダー」のテーマ曲としても有名で、原題は“Born To Be Wild”。言うまでもなく、BAZRAの最新作のタイトルに援用されていますね。ワイルドであるために生まれた、のではなく、ワイルドであるために〈凡〉であれ。「普通に生活してて、気分の変化とかあるじゃないですか。そういうもので表現していくっていう人もいるだろうけれど、僕らが曲のなかで一貫して持っているもの、感情にスポットを当てたときに比重がいちばん多いものは何かな?って思ったら〈ワイルド〉。〈野蛮〉な感じ。それも、野蛮になろうと思ってそうしてるとか、野蛮な振る舞いとかではなくて、普通の状態で日々持っている〈野蛮〉。それで〈凡〉……」(井上)。オーソドックスなスタイルをとりながらも、そこからはみ出すサムシングを掴み取ろうという、いまのBAZRAの基本姿勢を示す言葉とも言えましょう。(協力/ヤマウチェンコ・フミスキー)

▼文中に登場するアーティストの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年01月22日 14:00

更新: 2004年01月22日 17:45

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/bounce編集部

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