BAZRA
シンプルなアンサンブルから独自のグルーヴ感とエナジーを生み出してきたBAZRA。彼らの真のフォームを完成させたというべき自信作『凡 to be Wild』到着!
2004年はどんな音楽が流行るのか?――この時期になりますと、そんな話題をちらほら耳にしたりするものです……なんて、前振りをすると、さぞかしこのページを飾る3人組が、2004年のトレンドになる!なんてこと遠回しに言っているようですが、正直、そこまでは言いません(ヘヘッ)。たとえば、〈青春パンク〉だとかポップでメロディアスな〈ギター・ロック〉などといった旬なカテゴライズに乗っかるのも〈トレンド〉となる近道なのですが、この3人組には――そのいずれの要素にも多少なりに引っかかるものの――厳密に〈これ〉と限定できないものだったりします。
「なんかね、どんどんどんどん居る場所がなくなっていくというか……バンドが浮いていく感じっていうんですかね。最近はもう〈そういうもんなんだ僕らは〉って思ってますけどね」(井上鉄平、ヴォーカル/ギター)。
おっと、ご紹介が遅れました。お初にお目にかかる方々のために説明しておきますと、ここに参上した3人組の名は、BAZRA。99年より北の地・札幌で活動を開始させ、これまでにミニ・アルバム2枚、フル・アルバム1枚、シングル2枚をリリース。ライヴにおけるインパクトの強い演奏っぷりと、エナジー溢れるファンキッシュなロック・サウンド+言葉回しでもって確実にリスナーのハートを掴んできたバンド……って字面だけだと、それこそ〈凡〉な感じですが、そんなBAZRAの音楽から溢れ出すサムシングは、〈凡〉でありつつも実に〈オリジナリティー〉を伴ったものだったりするのです。
「なんかね、バンドのフォーマットは3ピースで、それでいてギター、ベース、ドラムスっていうのもすごくあたりまえの編成で、あたりまえのロックンロールの形式をとっているんだけども、なんで違って聞こえるのか?……なんなんですかね。〈モチーフ〉とかになるのが嫌で、〈流行を作りたいんだ!〉〈普通のフォーマットでも違うことができるんだぞ!〉っていうところに、昔っから自然と意識が向かっていたからなんですかね……っていうのは最近気が付いたんですけど」(井上)。
そんなBAZRAがセカンド・フル・アルバム『凡 to be Wild』をリリース。より強固になった独自のバンド・グルーヴ、その様は先行リリースされたシングル“ジャンプ”でも大々的に予告されてはいましたが、その塊が1と2と3と4と……12曲揃うことによって、バンドの著しい成長の跡が、さらに鮮明に浮かび上がってくるようです。
「『ひょうろくだま』(ファースト・ミニ・アルバム)の初期衝動だったりとか、『アホォリズム』(ファースト・フル・アルバム)で三原重夫さんにプロデュースしてもらってリズムをすごく意識し出したこととか、そのあとの作品から上田ケンジさんがプロデュースすることになって表現の幅が広がって自由になってきたとか……これまで全部の流れから出来た一枚。レコーディングを始めたころから〈こうなるんじゃないかな?〉ってなんとなく思ってて、全部録り終えて聴いたら、〈できた!〉って感じ。確実に達成感があるアルバムです」(井上)。
「アルバムを作り終えたときに、スタッフから〈いま絶対に鳴ってない音で、誰も待ってもいない音〉って。もちろん、誉め言葉だって言ってました。たとえば、チャック・ベリーとか、ヘヴィー・メタルっていう音楽を最初に開発した人とか、そういう人たちもみんなそういうふうに思われてたはずだって(笑)」(三枝拓也、ドラムス)。
そうそう! BAZRAの音楽は、決して誰も待っちゃいない。でも、届くべき場所は確実にある! それもあちこちに。そう、フレッシュな情報で溢れんばかりの本誌のなかから、このページに目を止め、少なからず興味を持ってここまで文章を読み進めていただいたアナタ! アナタのような貪欲かつ素直に〈自分にとっての良い音楽探し〉を続けるような方には真っ先に。
「僕らは僕らで〈シーン〉とかそんなもんどうでもいいから、本当に正直なところで反応してくれる人たちだけに向けて、音楽をし続けていきたい。そういう気持ちはいますごく強いです。僕らはいま、自分たちしか信じてないですから」(井上)。
OK! BAZRA、おまえらに賭けた!
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2004年01月22日 14:00
更新: 2004年01月22日 17:45
ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)
文/久保田 泰平