インタビュー

Funkstorung

新たな方向へと向かい、ポップ・ソングへと辿り着いたファンクストラングの新作とは!?


 マイケル・ファケッシュとクリス・デ・ルーカのユニット、ファンクストラングは、かつてオウテカと共にエレクトロニカの急先鋒として紹介されたこともあった。しかし、彼らの本質は、ドイツのエレクトロニック・アーティストらしからぬポップでグローバルなところにあった。でなければ、ウータン・クランのあの破天荒な“Reunited”のリミックスなど実現できなかっただろう。そして、そんな彼らの本質をよりはっきりと打ち出したのが、最新アルバム『Disconnected』だ。

「アルバムを作るにあたってふたつの方向性があった。いままでどおりコンピュータだけを使って複雑で変なビートをプログラミングしていくことと、新しい方向へと向かうこと。僕らは後者を選択するのがとても論理的に思えたんだ。いままでもシンガーのリミックスはやってきたわけだからね」(クリス)。

 約4年ぶりのセカンド・アルバムとなる本作は、ヴォーカリストやラッパーを迎え、生楽器も用いた楽曲が大半を占める。

「いままでは何をやってもトラック作りという感じだったが、今回はポップ・ソングを書くように作った。メロディーとソングライティングに焦点を当てたんだ」(マイケル)。

 ポップ・ソングとはいえ、一筋縄ではいかない。ラムのヴォーカリストであるルイーズ・ローズ、NYのラッパーであるテスやロブ・ソニック(ソニック・サム)、ミュンヘンで知り合ったシンガーのエニックなど、個性的なメンツが曲を彩る。

「いまはインターネット時代で、どこにいてもいろいろな音楽を聴けて、影響を受けることができる。僕らが住んでいるローゼンハイムという小さな街は、ベルリンやケルンのシーンとはまったく繋がりがないんだ。音楽をやってるヤツなんて僕ら以外にいないし、クラブもない。そのことで僕らは自分たちの世界に没頭できる。そして、逆に旅をすることでの出会いが大切になる。テスにしてもロブにしても、そうやって出会ったんだ」(マイケル)。

 彼らがこのアルバム作りで実現したネットワークは、アルバムのテーマそのものだ。繋がっていないけど、繋がっている。ファンクストラングのポップ・ソングは大きな説得力を持つものとなった。

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掲載: 2004年04月15日 14:00

更新: 2004年04月15日 19:39

ソース: 『bounce』 252号(2004/3/25)

文/原 雅明