インタビュー

Dr. Shingo

ヨーロッパ中を踊らせまくったテクノ・ドクターがニュー・アルバムで凱旋帰国!!


 2002年にドイツのフォルテよりデビュー・アルバム『Dr. Shingo's Space Odd-yssey』を発表、その後は岡村と卓球“Come Baby”のリミキサーに抜擢され、昨年の大晦日にはトレゾーのカウントダウン・パーティーにてライヴ・セットを披露……現在27歳にして、ドイツの地下テクノ・シーンを熱狂させる稀有な日本人クリエイター。それがDr. Shingoだ。

「バークレー(音楽院)の寮にいたころに、ルームメイトに〈Master Shingo〉って呼ばれていたんです。スキンヘッドでお坊さんみたいだったので。日本に帰ってからその名前でメール・アドレスを作ろうとしたけれど登録ができなかった。で、〈Docter〉に昇進(笑)」。

 パット・マルティーノをギター・ヒーローと仰ぎ、ジャズを学ぶためにバークレー音楽院に留学。ところが現地で悪友(?)にクラフトワークやアシュラ・テンプル、アインシュツルツェンデ・ノイバウテンといったジャーマン・ロックを吹き込まれて、帰国するころにはテクノ道を志すマン・マシーンになっていたという。その後リリースした先述のデビュー・アルバムはメロディアスなエレクトロ・サウンドで話題を呼んだが、新作『ECLIPSE』で彼は早くもそのイメージを捨て去るかのようなダーク・アシッド・サウンドを差し出している。

「まず、同じことを2度やることができないんですよ。1作目はニューウェイヴやエレクトロに(日本ならではの)ゲーム音楽的な部分を採り入れたけれど、新作ではヨーロッパで本当に通用するようなテクノを作ってみたい、っていう思いがあったんです。制作中に影響を受けたのはフランクフルトあたりのサウンド、ジャーマン・トランスの発祥の地ですね」。

 特筆すべきはフロア対応の楽曲が多くを占めながらも、どの曲にもストーリーがあり、彼の卓越したメロディーセンスを随所で聴くことができること。今作で彼の音楽性の幅広さが証明されることになりそうだ。こうなると、次回作はどうくるのか……。

「次はロックをやると決めているんです。ギターとヴォーカルを入れてロックでテクノなもの、アルバムのタイトルももう決まっていますよ(笑)。いまはほかの音楽の要素をいかに引っ張ってきてテクノの音をリフォームしてあげられるか、っていうのが大事だと思うんですよ」。

 Dr. Shingoの〈テクノ・リフォーム計画〉、今後も大胆な展開が期待できそうだ。

▼Dr. Shingoの関連作品を紹介。

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掲載: 2004年04月15日 16:00

更新: 2004年04月15日 19:24

ソース: 『bounce』 252号(2004/3/25)

文/リョウ 原田