インタビュー

DOPING PANDA

一歩も二歩も先を行く独自のバンド・スタイルが濃縮された新作『WE IN MUSIC』!


 いわゆる〈パンク〉に影響を受けたとされる若手バンドのなかでも、DOPING PANDAの存在は結成当初から際立っていた。エネルギッシュな勢いに任せて突っ走るだけではなく、サンプラーやターンテーブルなどを積極的に導入し、重層的で立体感のある音作りに挑む姿にはクリエイターというニュアンスさえ感じることができたものだ。だが、約2年ぶりとなるニュー・アルバム『WE IN MUSIC』で、彼らは聴き手をエンターテインさせるためには?という、極めて根源的なテーマに取り組んでいるように思える。

「ライヴでもっとこのバンドを磨いていくべきかな、と思っていたんです。今までは音源でステップアップを考えていたんですけど、いいライヴをすることも大事なんじゃないかと。それで自分たちが納得できるまではレコーディングは控えようと思っていたんです。悩むことに努力したというか」(FURUKAWA、ヴォーカル:以下同)。

 SYUTA-LOW TAGAMIをプロデューサーに迎えた前作『PINK PaNK』がリリースされたのは2002年6月。確かにそれ以降、彼らはライヴを充実させていくことに集中している。そこで得た手応えがそのまま作品に落とされたのが、タイトルからして象徴的な『WE IN MUSIC』だ。

「お客さんと自分とは違う、という意識は昔からあって。でも、今はその上でお客さんとライヴをいっしょに作っているという感覚があるんです。〈遠いけど近い存在〉というのになりたいと思うしね。でも、それ以上に、歌なりサウンドなりをちゃんと聴いてほしいと思ってて。今回は2年間かけて曲を溜めていったんで、それがいい結果にも繋がったかな」。

 彼ららしいポップな、そして、華のあるアルバムだ。シンセ・ドラムやサンプラーも用いたその挑発的なミクスチャー感覚はビースティ・ボーイズあたりを思わせたりもするが、一方でそのメロディーには〈聴かせる〉ことへの意識の高さが見え隠れする。FURUKAWAは普段実に幅広い音楽に触れているそうで、会話の中から滲み出るその好奇心の旺盛さに驚かされてしまう瞬間も多い。

「いろんなジャンルのツールを採り入れることが自然になってきましたね。前はパンクを出発点に、クラブっぽさも採り入れて、なんて思っていたけど、今回のレコーディングではそういうのは考えなかった。そのぶん、ヴォーカルに自覚的になってみたりね。もちろん、打ち込みも使っているし鍵盤も入れてるけど、そういうスタイルを超えたところでライヴにフィードバックする音源になっているのも、そういうことの現れなんじゃないかな」。


CUBISMO GRAFICOらが参加したリミックス盤『Remixes for 3years』(Niw!)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年05月07日 17:00

更新: 2004年05月07日 18:20

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/岡村 詩野