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インタビュー

New Found Glory(2)

いま僕らに作れる一番自然なアルバム

「(ニュー・アルバムは)ごく自然に生まれたアルバムだよ。もし今回のアルバムが前作だったとしたら、たぶんファンを取り残してしまうことになったと思う。でも僕らが成長して大人になっていくぶん、ファンも成長して大人になっていくんだ。だからいまは、僕らの変化に付いてきてくれるだろうし、自然に受け止めてくれると期待している。だからこそ、いま僕らに作れる一番自然なアルバムを作ったんだよ」。

 あら~。〈メジャー3枚目だし、そろそろヒヨってる頃かなぁ?〉なんていう、こちらの予想は完全に裏切られているワケだ。〈成長〉こそが今回のキーワード。ナメてかかってゴメンナサイ……。

「でも、その成果はすでに出ているようなんだ。これまでだと取材でもなかなかアルバムの話をしてもらえなくて、せいぜいバンドの話とか、ツアーの話とか、ソレ止まりだった。でも今回は、みんなが曲の内容にまで及んで訊いてくるんだよ。編集長に言われて仕方なく取材をしてたような人でも、今回はちょっと反応が違うんだ」。

 ぼ、ぼ、ぼ、僕はそんなことないですよ! ただ、カラフルなCDのジャケや、ライヴやプロモ・クリップにおけるコミカルなパフォーマンスのように、常にポップでユーモアのセンスを全面に押し出す方法論は、時として誤解を招くこともあるのでは? だが、本人たちはそのことを知りながらも、あえてそのヨゴレ役を買って出て、その役を笑い飛ばしながら演じているような気もするのだが……って、こちらの深読み?

「最初は誰もがカテゴライズされるから、ある程度、役割を演じなきゃならないんだ。だってそのほうが売りやすいし、わかりやすいからさ。それは理解できる。でも、そんなことをいちいち説明してたら、なんだか僕らは他のポップ・パンク・バンドを卑下してるように受け取る人も出てくるかもしれない。だけど、ぜんぜんそんなことはないし、僕らは他とは違うんだってことを言いたいだけなんだけど、なかにはひねくれて受け止める人もいるし。それだったらあえて説明などせず、言いたい人には言わせておいて、僕らは僕らなりに楽しもうって思ってるんだ」。

〈他人なんか関係ねぇぜ、ファッキュー!〉とはあえて口に出さず、笑ってバカ騒ぎしながらも、黙ってみずからの意志を貫き通すこの男気。たとえ音楽的には〈ポップ・パンク〉という括りでカテゴライズされようとも、その根底に流れるアティテュードは、彼らが長年培ってきたパンク/ハードコアの血であり、表面だけを取り繕ったようなサウンドを奏でる〈便乗組〉との差が決定的に露呈するのは、間違いなくこの部分だ。音楽にカテゴライズが無用なのは重々承知しているが、誤解を恐れずにあえて言わせてもらいたい。いくらNFGが〈ポップ・パンク〉と呼ばれようとも、〈パンク〉が付く以上は〈ロック・バンド〉であり、〈ポップ・バンド〉とは決定的に違うんだってことを。

▼ニュー・ファウンド・グローリーのアルバムを紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年06月03日 16:00

更新: 2004年06月17日 18:24

ソース: 『bounce』 254号(2004/5/25)

文/菅原 亮