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インタビュー

capsule

キュートな電子ポップスを創造する噂の2人組が、新たなコンセプトのもと新作を完成させた!


 capsule、そして中田ヤスタカがプロデュースするレーベル=contemodeは、家具のような音楽をめざす。彼はインテリア・デザインを形作っていくように、音楽について話している。

「これまではわかりやすいポップなミッド・センチュリーだったけれど、今年はより僕の部屋に近いというか(笑)、木目とかシンプルな形にしようかなって」(中田ヤスタカ)。

 ニュー・アルバムのタイトルは『S.F. sound furniture』。60年代のサイエンス・フィクションの持つ、〈あの頃描いた未来像〉と、スタイリッシュで暖かみのある家具の音楽という双方の意味を持つ、彼らしいタイトルだ。

「家具っていうとBGM的なものをイメージされる方も多いと思うんですけれど、ただ使えればいいというものではないし、飾っておくだけのものでもなくて、デザイン性があってなおかつ使えるものがいい。だから音楽もそういうプロダクト・デザイン的なものを考えています。製品として機能しながら、雰囲気のあるものが作れたらいいなって」(中田)。

 これまで、ヴィヴィッドなカラーリングやクリーンな空間処理など、60年代の意匠にこだわり続けてきた印象のある彼らだが、今作はより自身の直感やインスピレーションを盛り込んだのだという。

「僕もファッションやデザインと同じように、もちろん60年代の音楽を聴いたことはあるんですが、そういう予備知識を気にしないで作ったらこうなった。その場で思いついたことをどんどんやっていったほうがおもしろいかなって。もちろん大きな意味では今作もコンセプトありきみたいなところがあるんですけど、いまはフォーマット自体あまり関係ないというか」(中田)。

 ボサノヴァやブレイクビーツのリズムにレイヤリングされる豊富なナレーション。アップリフティングなプロダクションと対比をなすかのようなこしじまとしこのあえて感情を排除したことから生まれるキュートな歌声など、サウンドにあるスピード感は増幅し、よりジャンル分けの難しいものになっている。そうした速度は、頭の中にあたかも撮影スタジオがあって、そこに音を配置していくかのような創作スタイルによるものだろう。

「シチュエーションやイメージは重要ですよね。声を楽器として使うというのは、意識しているわけではないけれど、逆に変な感情が入らないので歌いやすいというか」(こしじまとしこ)。

 capsuleの創造性は、音楽の機能性と、生活感のあるミライが浮かびあがる仮想現実の双方を内包している。

「例えば、中身は最新のテクノロジーだけど、見た目はレトロっぽかったり、そういうおもしろさは考えていました」。

 リヴィングルーム発の宇宙旅行──遊び心とイマジネーションに満ちたパノラマへようこそ!

▼capsuleの作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年06月17日 13:00

更新: 2004年06月22日 11:55

ソース: 『bounce』 254号(2004/5/25)

文/駒井 憲嗣