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インタビュー

Doberman

独自のネオ・スカ・サウンドをブチかます9人組が、さらなるヴァージョンアップを遂げた新作をリリース!!


 昨年はバンダ・バソッティとのイタリア・ツアーも敢行し、一層激しさと逞しさを増した9匹のネオ・スカ狂犬隊、Doberman。彼らが、1年3か月ぶりのセカンド・アルバム『消えた狂犬とそれにまつわるウワサ』を完成させた。ライヴと並行しながらメンバー全員で山ごもりするなど、曲作りに力を入れた日々を経て完成した本作は、オープニングを飾る表題曲、続く先行シングル“車掌は寝転んだまま”……と、冒頭から想像を絶するテンションで飛ばしまくる。しかし──それこそが彼らたる所以といえるかもしれないが──戦中~戦後の退廃した街並みを連想させるような、喧噪と猥雑さが入り混じった濃密な世界観を確立している彼らの音楽は、もはや〈ネオ・スカ〉というジャンルには括りきれない類のものになっている。

「元になってるのは、僕が勝手にインスピレーションを膨らませて作った曲なんです。その時点では、ネオ・スカだったりめちゃくちゃポップスだったり、いろんな要素があって。そうして出来上がったのをバンドに投げちゃうんですけど、そこからどんどん変わっていって……」(原賢二、キーボード)。

「おもしろいのは、賢二が自分で考えたベースラインが入ってたものを、わざと抜いて曲を持ってきたり。そうして一回壊してから再構築して……前作を出してから今回のアルバムに至るまでに、みんなでいろいろ話してたんですけど、俺らは(ジャンルがどうこう考えず)モノ作りに徹しよう、と。自分らのなかで自然に出てきたものをやって、それがスカに聴こえないものがあってもいいじゃないか?っていう。やっとネオ・スカっていうのが自分らのなかに根付いたし、それを今度は壊して、〈俺らならこうだ〉って新しく言えるものを作っていこうと。放っておいても自然とスカの要素は出てくるから」(吉田隆志、ヴォーカル/パーカッション)。

「僕らが影響受けてはじめるきっかけとなったのは間違いないけど、自分らなりにどこまで広げられるか、いかに自分らのものにできるか?が大事ですから。(この作品をきっかけに)次のスカ・シーンになるぐらいのものが築けたら、僕らとしては嬉しいですね」(GAKI、サックス)。

 念のため(?)、彼らに〈ネオ・スカのどういうところにグッとくるか?〉という質問を投げてみると「少し品のある、紳士的な感じは常に持ってて、クールなんだけど、それをぶち壊すパンク精神も併せ持っているところ」(吉田)、「ネオ・スカの〈ネオ〉の部分の曖昧さや無秩序さ」(GAKI)という答えが返ってきた。そうか。やっぱり彼らは、心底ネオ・スカなバンドだったのだ。

▼Dobermanの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年06月24日 16:00

更新: 2004年06月24日 19:19

ソース: 『bounce』 254号(2004/5/25)

文/宮内 健