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インタビュー

CINEMA dub MONKS

沖縄発バルセロナ行き!?――自由奔放に音楽を紡ぐユニットの鮮烈なデビュー作が登場!!


 現在、ヨーロッパでもっともエレガントかつエキサイティングなサッカーを体感できるのは、あの大スター軍団=レアル・マドリーでもお馴染みのリーガ・エスパニョーラなのはみなさんご存知のとおり(?)。そのレアルの最大のライヴァル・チームがある街、バルセロナから発信されるミクスチャー・ポップ・シーンもまた、世界中の熱心な音楽ファンの熱い視線を一手に集めるトレンド・スポットだ。元マノ・ネグラのマヌー・チャオも現在はここをホームタウンにしており、新感覚のパンキッシュなグループが雨後の筍よろしく続々と頭角を現している。そんな地で〈海外組〉として大きな注目と喝采を浴びているのが、このたびヨーロッパのみで入手可能だったデビュー作『TRES ~sometimes on a field kickin' a ball』を日本でリリースしたCINEMA dub MONKSだ。ハナレグミやクラムボンとの活動でも知られる曽我大穂(ピアニカ、フルート、ウクレレ、スティールパンなどなどをこなす脅威のマルチ・プレイヤー!)と首里フジコのサポートなども行っているベーシスト、ガンジー西垣を中心に沖縄で結成されたユニットである。

「僕、昔ヨーロッパをずっと旅行してた時期があって、そのときのバルセロナの印象がとても良かったんですよね。これから何かが生まれてきそうな雰囲気があって。沖縄の次は東京/大阪に行くとか、その後はロンドン/NYだ、みたいな動きとは違う活動もあっていいと思う。那覇市と世界のどこかの都市、点と点の繋がりというか」(曽我大穂:以下同)。

 今作でも聴けるように、CINEMA dub MONKSのサウンドはとにかく映像的。ユニット名からもお察しのとおり、〈映画のようにダブのように、そしてセロニアス・モンクのような〉音楽をめざす彼らの演奏場所は、通常のライヴハウスだけでなく美術館やカフェ、ギャラリーなども含まれる。

「映像といっしょにしかやってないですね。映像と音で足らないところを上手く補って、2つが重なったとき綺麗に両方を補い合うように意識しながら作るんです」。

 彼らのユニークさは、それだけに留まらない。トラック数を〈何曲目〉と数えるのではなく、〈何話目〉と数えるのだ。

「ストーリーはそれぞれに楽しんでもらいたいと思ってます。実際ライヴでは指のサインとかも決まっていて、突然別の〈話〉に飛んだりする。縦横無尽にやってきたんで、ライヴごとに別な〈話〉にもなっていたんですけど」。

 なるほど。僕もこのアルバムを聴くときはCDプレイヤーをランダム・モードにして、サウンドコラージュと日常の現実音の境界が限りなく曖昧になる瞬間を楽しんでます!

▼文中に登場した作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年06月24日 16:00

更新: 2004年06月24日 19:54

ソース: 『bounce』 254号(2004/5/25)

文/佐々木 俊広