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インタビュー

Donots


 2002年に発表された前作『Amplify The Good Times』がここ日本でも大ブレイクし、一躍シーンの顔となった〈ドイツのメロディック・パンク隊長〉ことドゥノッツがニュー・アルバム『Got The Noise』を発表した! エッジ効きまくり&ヘヴィーなリフ全開の疾走感溢れるハードな楽曲から、アコギ主体の涙チョチョ切れ哀愁ナンバー、そしてライヴで大合唱確実の超~シンガロングなポップ・ナンバーまでが、まさに〈特盛つゆだくネギ多め〉状態の今作は、これまで以上にヴァラエティーに富んだ内容ながらも、ドゥノッツらしさ全開の楽しさ満点ウルトラC級の仕上がりとなった。〈全パンク・キッズ必聴!〉と声を大にして言いたい!

「ワ~オ、褒めてくれてアリガトー! 俺たちの多彩さとか力強さとか雰囲気とかを感じてくれたのは本当に大切なことだよ!」(インゴ:以下同)。

 しかし、突然の成功による環境の激的変化、周囲から寄せられる過剰な期待に押し潰され、みずからの方向性を見失い、次第に失速してゆくバンドも少なくない。彼らの場合も決して例外ではないと思うのだが?

「いや、そんなにプレッシャーはなかったよ。〈新しいギター・リフをやってみようぜ!〉ってなノリでリハーサル・ルームに入っていっただけでさ。プレッシャーを感じすぎちゃうと自由な発想ができなくなるしねっ」。

 ……終了~。余計な心配でございやした(笑)。さて、バンド結成から実に10年が経つ、われらがドゥノッツ。ライヴに明け暮れた辛い下積み時代やメンバー・チェンジも経験し、その道のりは決して順風満帆ではなかった。それでも、毎回リスナーの期待に応え続ける高いポテンシャルや意識には、ホンットに頭が下がる。良いアルバムを作り続ける秘策みたいなものはあるの?

「〈少ない脳味噌、たくさんの度胸!〉って感じかな(笑)。でも、今回ひとつだけ凄く集中したのは、ライヴのエネルギーをそのまま作品に詰め込むってこと。ロックには〈エッジーでラフでミスばっかり〉みたいな、ある意味〈スペシャルな瞬間〉があるもんなんだ。そんなマジックを見つけようと、スタジオでひたすらジャムり、集中した。そういう意味で、俺たちがこんなに自分たちのサウンドを追求したことはいままでになかったと思う」。

 また今回、初のセルフ・プロデュースに挑戦したという彼らだが、その創作意欲、チャレンジ精神にまだまだ底は見えない。むしろ彼らの可能性は、キャリアを重ねるごとに増している感すらある。よりシンプルかつラフなアレンジを施したサウンドは、むしろ自信の表れだし、メンバーもこの新作には凄く誇りを持っているようだ。そして、今後はその新作をひっさげてのライヴ・ツアーとなるわけだが、もともとライヴには定評のあるバンドだ。嫌でも期待は膨らむってもんでしょ!?

「ライヴは俺たちにとって一番大切な瞬間だよ! キッズとのコミュニケーション、エネルギーの伝導、そしてステージを楽しむことがドゥノッツのすべてさ!」。

 また、「これから先も、ずっとクリエイティヴで誇りに思える作品を作ること。物事は起こるがままに任せ、メンバー全員が良い友人同士でいられたらベスト」と、まさに〈NO MUSIC, NO LIFE.〉かつ素朴で謙虚な野望も語ってくれた。超過密日程の合間を縫って行われたこの取材にもサーヴィス精神旺盛に応じてくれ、まさにドイツ版〈いいひと〉を地でゆく彼らだが、思うにこの〈自然体〉こそがドゥノッツをドゥノッツたらしめている最大の要因ではないだろうか。なんて素敵なヤツら! それでは最後の質問。君たちの音楽を一言で表現するならば?

「エネルギー、楽しさ、積極性、そして……タダで呑むこと(笑)。あれ? 一言以上になってる?(爆笑)」。

PROFILE

ドゥノッツ
94年、ドイツ・イベンビューレンで結成された5人組バンド。現在のメンバーはインゴ(ヴォーカル)、アレックス(ギター)、ギドー(ギター)、JD(ベース)、アイク(ドラムス)である。結成当初は、地元でのライヴを中心に活動。本国で開催されたイヴェントで優勝を果たし、レーベル契約へのきっかけを掴む。99年のデビュー・アルバム『Better Days Not Included』、2001年のセカンド『Pocket Rock』とリリースを重ね、2002年のサード『Amplify The Good Times』が発表されるころには、〈CMJミュージック・セミナー〉に参加するなど、バンドの知名度を世界的なものにする。このたびニュー・アルバム『Got The Noise』(Gun/BMGファンハウス)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月08日 12:00

更新: 2004年07月08日 17:43

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/渡辺 貴仁