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インタビュー

nobodyknows+


「長いこと制作をやってたんで、ひとつにまとまるようになるのかな?っていうのはあった。でも、聴いてもらえばわかってもらえると思う」(DJ MITSU)。

 NOBODY KNOWSとしてインディー・リリースした最初のシングルから数えて5年。メジャー・デビュー~メンバー増員を経てnobodyknows+へと姿を変えた彼らのファースト・フル・アルバムは『Do You Know?』。これまでのライヴ活動や、作品リリースを通じてブラウン管にも姿を見せた彼らにとって、〈Do you know?〉というその問いかけは、まずもちろん彼らを知らない人たちに向けたものだろうが、彼らを知るリスナーに対しては、これまで見せていない彼らの一面を聴き手に問うものだとも言えるだろう。

「シングルのイメージが強いと思うけど、熱いのは熱いし、冗談が通じる奴っていうのもアルバム聴いてもらうとわかると思うし、いい意味でイメージを変えてもらえるかなって思う」(CRYSTAL BOY)。

 しかし、それは意識的な変化を彼ら自身が試みたということでは必ずしもない。いままでどおりに、「自分のいまの心境だったり状況だったりをダブらせた」(ヤス一番?)曲をひとつひとつアルバムとして積み上げていった結果のものであり、彼らの本質は劇的に変わることなくアルバムに現われている。

「ホント、ドキュメントみたいなノリなんで、その集大成っていえば集大成なんですけど、お互い刺激し合って、手を繋ぎ合って、それが素のままアルバムになった。俺らが地に足つけてやってきた結果だし、俺らは変わらないことをやってきたわけだから、ずっと」(g-ton)。

「落ち着いた曲をやった後には弾けたものをやりたいなとか、そういうのをメンバーそれぞれが持ってて、その過程で出来ていったものが毎回曲になっていったんです」(DJ MITSU)。

 6人が足並みを揃えた結果がnobodyknows+の音楽に。そこに破綻や乱れは見られない。ただ、彼らはそれがグループとしてひとつのパーソナリティーにまとめられることには考えもそれぞれのようだ。シングルとしてリリースされていた“ポロン2”や、ゲームソフト「ぼくの夏休み」がヒントになってダンカンをイントロの語りでフィーチャーしたという“太陽と少年”。さらにはアルバム・ミックスとして収められたパーティーライクな“以来絶頂”にさえも、ふと勘ぐってしまうような、なくなったものに対する哀感や、後ろ髪引かれるような思いを、一言に〈喪失感〉として言葉を向けたときのメンバーの反応がそれを示している。

「俺らの口から喪失感なんて言葉は出してないし、ポジティヴな音楽をやってる」(ヤス一番?)。

「〈喪失感〉ってほどトゥーマッチじゃないし、ネガティヴなイメージは与えてないつもり。でも、そういう感覚はやっぱりある。俺らは完璧な人間じゃないし、人間ってそういうもんだと思う。でもやるんだよ、みたいな。それに、ヘコまなきゃ上がれないもんな」(g-ton)。

「ただのバカ騒ぎじゃなくて、楽しかったぶん、それがもうすぐ終わっちゃうみたいな寂しさもあるじゃないですか。それを感じつつ、またそこに行きたいっていうことを歌ってるから」(CRYSTAL BOY)。

 ともあれ、彼らnobodyknows+はそうしたさまざまな思いを「届かせるグループ」(HIDDEN FISH)としてある。リスナーが「共感してくれたりだとか、がんばろうと思ってくれたりとか、そういうので成り立つ」(DJ MITSU)グループであり続けるだろう。

PROFILE

nobodyknows+
DJ MITSU(DJ)、g-ton(MC)、CRYSTAL BOY(MC)がNOBODY KNOWSを結成、2000年に『NOBODY KNOWS 1』でデビュー。地元である名古屋を拠点に積極的な活動を展開し、2003年に『NOBODY KNOWS 3』でメジャー・デビュー。その後、DJ MITSUのプロデュースによってデビューしていたわかば塾の3MC(ヤス一番?、HIDDEN FISH、ノリ・ダ・ファンキーシビレサス)が加入して現在のnobodyknows+へと発展。同年9月に6人となって初のシングル“以来絶頂”をリリース。以降、“ススミダス→”“ポロン2”“ココロオドル”とシングルが連続ヒットを記録している。このたび、待望のファースト・フル・アルバム『Do You Know?』(ソニー)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月15日 12:00

更新: 2004年07月15日 16:58

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/一ノ木 裕之