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インタビュー

Angela Johnson


 ソロ・デビュー・アルバムとなった前作『They Don't Know』からおよそ2年ぶりとなるセカンド・アルバム『Got To Let It Go』をリリースしたアンジェラ・ジョンソン。DJスピナとの共演やDOUBLEのヒット曲“ANGEL”の作者としても知られる彼女だが、その2年の間にはライヴも含む精力的な活動を続けてきた。

「いつもスタジオで制作やプロデュースをしていたわ。常にいくつかのプロジェクトを進行させているの。それから母親になる準備もね! 今年のはじめに女の子を出産したのよ」。

 そういった活動、プライヴェートでの大きな変化がもたらす充実ぶりからか、今作にはタフでいてしなやかなファンクネスが宿るアップ・ナンバーが数多く収録されることとなった。グルーヴ感溢れる“On My Way”で幕を開け、ルーシー・パールの“Don't Mess With My Man”を想起させるような疾走感がたまらない“Where's The Love?”、はたまた従来の聡明でクールなイメージを色濃く漂わせたタイトル曲などなど……そんな躍動感が前作との大きな違いだろう。

「今回は前作よりもう少しダンサブルなアルバムが作りたかったの。R&Bアルバムはこうあるべき、という2004年の私の認識なのよ」。

 ただ、一言に〈ダンサブル〉といっても、アプローチは実にさまざま。しかもそれらの楽器演奏のほとんどは彼女自身によるものだ。

「ピアノを始めたのは4歳の時、独学だったわ。母がピアノを弾くのを隣で見ながら聴いて、マネをしようとしていたの。他にもたくさんの楽器が弾けるようになったら良いと思う。時間を見つけて、ギターとベースを弾けるように練習したいわ。あとはパーカッションも!! コンガが好き!」。

 自作自演アーティストとして人気を集める彼女。アル・グリーン、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリンにパトリース・ラッシェン……と、フェイヴァリットに挙げるアーティストはいずれも60~80年代のレジェンドたちで、ヴォーカルの説得力はもちろん、演奏、ソングライティング、プロデュースなどもこなすアーティストばかりだが、アンジェラもまた然り。彼女の場合はそのすべてをもって自分自身を表現しているのだという。

「全部合わせてこそ良い表現ができるのだと信じているわ。私が参加している作品のすべてにおいてね。そのプロジェクトが大きくても小さくても同じよ」。

 そんな自身の作品に対する愛情は他のアーティストに曲を提供する時も同様で「自分のアルバムに入れる可能性のある曲を作る」とのことだが、だからこそ先述した“ANGEL”のセルフ・カヴァー“Tell Me”がこんなにエモーションに満ちているのだろう。また、今作には自動車のTVCMでお馴染みとなるビートルズのカヴァー“Revolution”も収録されている。これもまた大きな話題のひとつだ。

「ヴォーカルをCM用に入れてほしいと頼まれたの。曲自体は私が参加する前にレコーディングされていたんだけど、実はとても注目を集めたので、アルバムに入れることにしたのよ」。

 さて、今後は盟友DJスピナによるリミックス(彼女いわく「私の曲がどのくらい変わるのかを見るのはとても楽しい!」)や、今年の終わりにはクーリーズ・ホット・ボックスとしてのセカンド・アルバムなどが控えているとのこと。その前に来日公演で、その温かさに溢れた作品と知的な美貌に魅了されたいものだ。

「前回日本に行ったときはとても印象的で、また日本で同じことができるのを楽しみにしているの。私にこの機会を与えてくれたことをとても感謝しているし、たくさんの愛と尊敬をサポーターの皆さんに捧げるわ。本当にありがとう!」。

PROFILE

アンジェラ・ジョンソン
NY出身。ヴァイオリン演奏で進学したNY州立大学パーチェイス校にてクリスチャン・ウーリッヒらとクーリーズ・ホット・ボックスを結成。98年にソール・ミュージックからリリースした“Make Me Happy”がヒットし、ハウス~クロスオーヴァー文脈で人気を集めていく。同時にDJスピナやDOUBLEらの楽曲でプロデュース/ソングライティングなどを手掛け、裏方としても活躍。2001年にクーリーズのファースト・アルバム『Take It』、翌2002年には初のソロ・アルバム『They Don't Know』をリリースする。その後もローネイやモネイ、リール・ピープルらの作品に参加している。このたびセカンド・アルバム『Got To Let It Go』(Dome/コロムビア)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月15日 12:00

更新: 2004年07月15日 16:57

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/佐藤 ともえ