インタビュー

SPECIAL OTHERS

ピースフルなヴァイブレーションたっぷりのグッド・ミュージックを紡ぐ4人組がデビュー!!


 SPECIAL OTHERSの結成はかれこれ10年ほど前。高校時代の仲間たちで結成された当初はごく普通の高校生バンドだったが、20歳を過ぎて芹澤優真(オルガン/ヴォーカル)が参加するころから彼らの音楽性に変化が現れはじめる。

「スタジオでジャムる機会があって。そのころからGラヴとかクリッターズ・バギンを聴くようになった。みんなで〈カッコいい!〉みたいに話して」(宮原良太、ドラムス)。

 その後、ライヴもやらずセッションと旅しかしていなかったという充電期間(?)を経て、地元横浜や東京のクラブでの演奏活動を開始。そのころには「往年のブルースを聴くよりも、Gラヴを聴くほうがいいんです。ジャズにしても、昔のものよりも(ジョン・)メデスキのオルガンを聴くほうがいいし」(芹澤)というスタンスをもってあらゆる音楽を呑み込もうとする彼らの方向性が固まってきたようだ。また、フィッシュなどジャム・バンドの情報もキャッチしつつ、一方ではアンダーグラウンドなクラブ・シーンとの交流からさらにそのネットワークを広げていった彼らは、とあるタワレコのバイヤーとの出会いをきっかけに突如デビューを飾ることになる。

「ホント急展開。こんなことってあるんだな、って感じですよね」(芹澤)。

 山梨のスタジオで8日間に渡る共同生活をしながら制作された彼らのファースト・ミニ・アルバム『BEN』は、持ち味である煌めくようなメロディーセンスがしっかりとしたバンド・アンサンブルによって丁寧に紡ぎ出されている。楽曲の多くがインストにも関わらず、だ。その裏地にはジャズをはじめとする音楽的素養が透けて見えるわけで、そんなところから彼らのことを〈新世代ジャム・バンド〉なんて呼んでみたくなるんだけど……。

「自分たちの時間と相手との時間の間に温度差がヘタにできないように、曲としてちゃんと成立するようには考えてますね」(芹澤)。

 やっぱり呼び方はなんでもいいや。ただ、彼らが放つ自由でピースフルなヴァイブレーションはなにものにも代え難いものだ。「とりあえず右脳でかっこいいかどうか。あんまり考え過ぎずに」(宮原)という発言はそれをクールに説明したものだけど、それよりもみんな、ホントに仲がいいでしょ?

「いまだに長話とかしますから(笑)」(宮原)。

「うん、楽しいですよね」(芹澤)。

 それだけで十分。『BEN』にはそんな4人の楽しげな〈会話〉が詰まっている。ついついこっちも笑っちゃうような感じのね。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年08月26日 16:00

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/大石 始