22-20s
ブルースの深い造詣と高い演奏力で、UKロック・シーンに対峙する注目のニューカマー!!
このバンドには、哲学がある。媚びない、甘えない、甘やかさない。本質を見抜く目で描き上げられたその硬派な音作りは、安易な感想を拒むかのようにただ五臓六腑をワシ掴みにする。それが、なんとも言えぬ快感だ。先ごろ、ブルース・マニアならではの演奏力に裏打ちされたそのライヴの凄まじさを、ようやく日本でも〈フジロックとそのアフター・パーティー〉において開陳してくれた22-20s。ブルース風味が色濃かったライヴ盤とミニ・アルバムを経て、ついにデビュー・アルバム『22-20s』を完成させた。
これがもう、一度聴いたらブッ飛ばされるほどの、オレ流ロックンロール・アルバム。ブルースの魂には忠実でありつつ、表面的なマナーにこだわることなく、英国人の白人の20歳の、リアルを叩きつけている。
「僕らは、ブルースの規則にはめられたくないんだ。それでいて、ブルースにもの凄く敬意を払っているのは、例えば70年前のブルースマンたちは、その当時に生きるうえで抱えていた問題を真摯に歌っていたから。いま、この時代に白人で英国人の自分が、例えばミシシッピやフロリダやシカゴの真似をして歌うのは、むしろ失礼にあたる」(マーティン・トリンブル、ヴォーカル/ギター:以下同)。
これ以上ないほど男っぽいガナり声を響かせるマーティンは、インタヴューではかなり小声のボソボソ系。デルタ・ブルースとモリッシーのなかにある共通項など、音楽オタクならではの例え話がポンポン飛び出す。
「演奏するときは、そこにソウルがあるかどうかを意識するよ。とはいえソウルは、早弾きなどと違って学べるものじゃない。それがあるかどうかに尽きる。なんというか、ブルースはとってもシンプルでベーシックな音楽の形さ。だから、難しい。コントロールしようとすればするほど、元々のエッセンスを失ってしまうことになるわけだし」。
ああ、言うことなすことシビれるじゃないか! 彼らのデビューに際し、英国のレコード会社間で凄まじい争奪戦があったのも納得。売れる売れないではなく、業界のプロたちも単純に、この男たちの魂と哲学に魅せられたに違いない。22-20sの音は、安易な〈理解〉をリスナーに求めない。ただシビれさせ、巻き込んでゆく。