インタビュー

INFUSION


 96年頃からジェイミー・スティーヴンス、フランク・ザヴィエル、マニュエル・シャラッドの3人で活動してきたインフュージョン。いまや本国オーストラリアでは向かうところ敵ナシの彼らは、〈Big Day Out〉や〈Splender In The Grass〉といった国内のメジャーなフェスはもちろん、USやフランスのメディアでも絶賛され、〈グラストンベリー〉や〈Creamfield UK〉などUKのビッグ・フェスにも名を連ねている。彼らがここまで注目を集めている理由のひとつに、ダンス・アクトらしからぬアプローチから生み出される独自のサウンドがある。そのオリジナリティーをキープする秘訣を訊ねてみた。

「他人の言うことを聞かない(笑)、他人のご機嫌を取ろうなんて思わないことかな。これまで作ってきた作品のどれについても言えることだけど、一般的なクラブ・ミュージック・プロデューサーとは違う視点から音楽作りに取り組んできてるんだ。普通ならどんなDJを起用するのか、クラブで映えるようにするにはどうすればいいのか、とかある程度の制限内で音楽を作ってることが多いと思うんだ。でも、俺たちはDJでもないから、DJ的なアプローチも持ってないしね。俺たちは常識破りをするのは恐くないし、実験精神が旺盛なんだ」(ジェイミー・スティーヴンス:以下同)。

 ファースト・アルバム『Phrases And Numbers』からしてそうだったのだが、彼らは生演奏やヴォーカルも積極的に導入し、ロックやポップスの持つエネルギッシュな感覚をダイレクトに伝えるのが非常に得意だ。そして今回登場したセカンド・アルバム『6th Feet Above Yesterday』では彼らの特性を活かしてロック/ポップス寄りの曲とダンス・トラックのメリハリを際立たせ、アルバム一枚を通してよりダイナミックな体験をすることができる。

「そのとおりだね。自分たちが気持ち良ければどんなスタイルの曲でもやってしまうから。スタイルという概念よりも、バンドとしてどんな音楽が作れるのか、その可能性を試すつもりでアルバムを作ったよ。決してエレクトロニクスに支配されることなく、俺たちがエレクトロニクスを駆使して好きな音楽を作ったんだ。実はギターの音が大好きだったりするし。音楽の純粋主義者というわけでもないんだけど、何でもありの世界だね」。

 断わっておくが、ロック/ポップス寄りといってもインフュージョンのそれは、決して安っぽくウケを狙ったようものではないのであしからず。そして彼らのもうひとつの魅力はライヴ! メディアから最強のライヴ・アクトとの声も上がるほどだ。

「アッハハハハ! なんか……変な感じだね。そんなことあんまり考えてないよ。どうなんだろうね? ま、もちろんステージでは全身全霊を捧げてるし努力もしてるよ。人にホメられるのはいつも嬉しいけど、あまり調子に乗らないように心懸けてる」。

 とはいえ彼らのステージは、観たことのある人ならご存知かと思うが、とにかくアグレッシヴ。ステージ上で動き回ったり、飛び跳ねたりすることなんてあたりまえ。その場でアレンジを施していく即興性の高いライヴは「スリル感があるんだよね。ワクワクしてしまうんだ」という発言どおり、彼ら自身も楽しんでいるのが誰の目にもあきらかだ。あんまり激しいもんだからたまには失敗ぐらいあるんでしょ?

「アハハハ! 幸運にもまだ何かを壊したり、ステージから落っこちたりはしてないけど、きっとそのうちミキシング・デスクをブッ倒したりしちゃうだろうね(笑)」。

 そんなヘマに遭遇できるかわからないけど、とにかくステージは一見の価値あり! 今作からレーベルがメジャーに移り、強力なバックアップ体制も確保。お世辞抜きで世界制覇はもう目前!

PROFILE

インフュージョン
フランク・ザヴィエル、マニュエル・シャラッド、ジェイミー・スティーヴンスのトリオ。96年頃よりシドニーで活動を開始。メルボルンを拠点に地元レーベルのサンクから12インチ・リリースを続け、2001年に初のアルバム『Phrases And Numbers』をリリース。同年の〈Australian Dance Music Award〉で5部門を受賞する一方、ポール・オークンフォルドやピート・トンらのプレイによってヨーロッパでの認知も高めていく。2004年初頭に“Girls Can Be Cruel”が大ヒットを収め、グラストンベリー・フェスティヴァルに登場。このたびセカンド・アルバム『6th Feet Above Yesterday』(BMG Australia/BMGファンハウス)がリリースされたばかり。10月22日にはその日本盤が登場する予定。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年10月21日 12:00

更新: 2004年10月21日 16:43

ソース: 『bounce』 258号(2004/9/25)

文/青木 正之