〈再会〉を果たすまでのふたりの歩みをプレイバック!
まず動き出したのは畠山美由紀。プロデューサーに鈴木正人(LITTLE CREATURES)を迎えた2002年のファースト・アルバム『Diving into your mind』で描き出されたものは、都市化以前の日本的な風景に仄かな情念を忍ばせた歌声が降り注ぐ様であり、その濃厚な世界観はPort of Notesでのイメージを越える嬉しい驚きをもたらした。一方ギタリストのDSKこと小島大介は、瀧見憲司、chari chariなどと共に作り上げた翌年の『Man and Guitar』にてメロウな歌声とチルアウトなギターを走らせ、リスナーを名も知らない異国へ連れて行く。そして『Man and Guitar』のあとすぐにリリースされたのが畠山美由紀の、躊躇うことなく〈名盤〉と断言したいセカンド・アルバム『WILD AND GENTLE』。冨田恵一、鈴木惣一朗などが広げたサウンド・ヴァラエティーと自身のソングライティングの高みが溶け合った夢のように豊かな作品だ。2004年初頭には畠山美由紀が品川の教会でのライヴ盤『LIVE AT GLORIA CHAPEL ~The Great American Songbook~』にて、アメリカのシンガー・ソングライターたちのスタンダード・ナンバーに新しい息吹を吹き込んだかと思えば、DSKはディープなインストゥルメンタル・ギター・アルバム『Thinking About Freedom』を作り上げ、図らずも両者ともルーツを再確認した格好。なおも移動を続けるジプシーDSKが、chari chariとの新ユニットAURORAの初アルバム『FLARE』で提示した圧巻のサウンドスケープの先には、畠山美由紀との3度目の邂逅があった。
▼文中に登場した作品を紹介
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2004年10月28日 15:00
更新: 2004年11月04日 18:28
ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)
文/内田 暁男