音速ライン
繊細な描写とワイルドな演奏で話題の3人組がセカンド・ミニ・アルバムを発表!
ポップなメロディー。荒々しい演奏。ナイーヴな歌声。それらが組み合わさったロック・チューンの数々で、その人気&評価を急上昇させている3ピース・バンド、音速ライン。届けられたばかりの2枚目となるミニ・アルバム『青い世界』について、中心メンバーの藤井敬之(ヴォーカル/ギター)が語ってくれた。
「思うままに音楽をやってるようなところがあって。だから今回の作品にもコンセプトみたいなものは特にないんです。ノープランな人間が集まってるバンドなんで(笑)」。
繊細さと乱暴さ。明るさと切なさ。甘さと苦さ。そういった相反する要素がぐしゃぐしゃに混在しつつ、しかし、どれも最終的にはポップなロックへと昇華された全6曲。
「そのへんも、とにかく好きにやった結果っていうか。ただ僕が一番ハマっていた90年代初頭のUKっぽい空気感が出てたらうれしいな、とは思いますね。ストーン・ローゼズとかライドとかマイ・ブラディ・ヴァレンタインとか」。
なるほど。確かに全体に漂う〈ある意味では諦めてるけど、でも完全に希望を捨てたわけでもないんだよなあ〉といった雰囲気は、どことなくシューゲイザーやマンチェスターなどのムーヴメントを思わせる。例えば歌詞に目を向けてみても、なんだか途方に暮れたような表現が目立ったり。
「うん。そうですね。基本的に途方に暮れてる人間なんですよ(笑)」。
だがラストの“未来サントラ”では一転して、〈この先の未来へ行こう〉なんていう輝きに満ちた言葉が叩き出される。だからとおして聴くと、ふいに感動に襲われる。
「あ、そう言ってもらえると、すごくうれしいです。この曲は自分がめちゃめちゃ落ちてる時期に作ったんですよ。〈このままじゃいかん。ちゃんと前に進まなきゃ!〉とか思いながら。長い人生いろいろあるけど、落ち込んでるままでは前に進めませんからね」。
11月にはレコ発ツアーが、そして12月には下北沢にて初のワンマンが決定。おそらく多くの人が音速ラインの楽曲で心&身体を揺らされることになるだろう。
「楽しくなければ音楽じゃない。音速ラインの活動で意識してるのは、それだけ。でも、それこそが音楽をやるうえで最も大事なことだと思ってます」。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2004年11月04日 13:00
更新: 2004年11月04日 18:26
ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)
文/大野 貴史