アイシスのリリース・レーベル、イペキャクは世界の猛毒音楽を集めた秘宝館よ!
イペキャクとは、喰らうとゲロ吐くどこかの草の名。この、腰を痛めた故郷の母だけには知られたくない名を冠したワル音楽レーベルは、狂者の国USの狂者の王様、マイク・パットンにより99年にスタートいたしました。初期のほとんどはメルヴィンズ(ひたすらカート・コバーンに敬愛されていたことでご存知の方も多いはず?)と、マイクのバンド、ファントマスのやりたい放題のためにのみ機能していたように記憶してるのですが、2003年あたりから有名無名関係なしで、わが耳を疑いたくなるような毒気の強い天才気質が世界中から大集合します。(中略)……なので、この毎月毎月息つぎなしでリリースされる素晴らしきヌエ・ヒョットコ類音楽の少しばかりをご紹介です。
まず、横繋がりで必然なのでしょうが、BOREDOMSのYOSHIMIとチボ・マットの本田ユカによるYOSHIMI&YUKA、吉田達也による鬼ドラムの鬼プログレ・バンド、RUINS。マイク・パットンのポップセンスを前面に押し出したような狂気と仕掛けだらけのバンド、トマホーク。真っ赤なブラジャーで仏壇をしばき倒すような確信犯的馬鹿ロック・バンド、モンド・ジェネレーター。ウチのROMZからもリリースしているブレイクコア&ポップなエレクトリック大将、キッド606や、廃未来50'sサウンドをシネマ・スコア的に表現するノルウェーのカーダ(ご存知ならば幸いですが……)。〈死ねるのか?〉と問われれば〈汗かいて死ねる!〉と、今年最強にお薦めのベルギーのアヴァン・ハードコア・ブラス・バンド、フラット・アース・ソサエティー。そして当然、ファントマスとメルヴィンズ。ほかにもゴッド・フレッシュやバグで知られる大御所ケヴィン・マーティンによるクラスト・ブレイクコア(?)なカース・オブ・ゴールデン・バンパイアや、スカムなビッグ・ビート・アーティスト、エンドなどなど。ゲロ吐くってより、耳の垢が落ちますよ。いっぱい。
▼文中に登場するアーティストの作品を一部紹介。
- 前の記事: Isis
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2004年11月04日 10:00
更新: 2004年11月04日 18:25
ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)
文/SHIRO THE GOODMAN