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インタビュー

MACHACO

名古屋を拠点にしながら着実にキャリアを重ねてきたレゲエ・シンガーのデビュー作が登場!!


 全国的に現在ほどレゲエ・シーンが確立されていない時代から名古屋をベースに活動してきたMACHACOが、キャリア初となるフル・アルバム『LOVE SO DIVINE』を完成させた。シーンの黎明期を知る彼女だからこそ、これまでの活動のなかで多少なりともさまざまなストレスを経験してきたことは想像に難くないが、「ずっといっしょに活動してきたGUIDING STARがレーベルを立ち上げた時、〈ファーストはここから出す〉って自分のなかで決めていました。地元の仲間とこうして作品を作る環境を築き上げられたことをすごく誇りに感じます」と、純粋に作品といまの自分、そして周囲の環境に対する清々しくポジティヴな答えが返ってきた。この言葉は、作品を聴けばより説得力のある言葉として実感できるだろう。全14曲の収録曲中で取り上げられているテーマはさまざまだが、どの曲からも澄み渡るようにクリアな印象を受ける。

「全体的な音はミディアム中心で踊れる感じ。自分はDJからスタートしたんですけど、バンドで歌っていた時期もあったので、ロックステディであったりラヴァーズであったり、これまで好きで聴いてきたレゲエのいろんなフィーリングを詰め込みたかった。こんな日本語のレゲエがあったらおもしろい!という曲を作るように心掛けました。リリックスは、いま自分が感じてることばかりです。すごい時代に生きていて、救いの歌みたいな、狂った事件を吹き飛ばすようなパワーのある音楽がやっぱり必要だと思うから。ジャマイカの曲を聴いていると、すごく綺麗なハーモニーで鼻歌で歌えそうなメロなのに、よく聴くと社会に対する激しい鬱憤だったり怒りや哀しみだったりして。自分もそんな作品が作りたいって思って」。

 思いを乗せて書き綴られた言葉から受ける印象だけではなく、その言葉を迷いなく軽やかに歌い上げる、その透明感ある歌声に耳が引き寄せられる。「不器用な人間なので、小手先で勝負しないこと」を常に考えているというMACHACOの人間性が伝わってくるようなその歌声に、歌は〈聴くもの〉ではなく〈感じるもの〉だよな、という思いを新たにさせられた。なかでも「いちばん自分らしさが出ている」という理由でMACHACO自身が気に入っていると話す“Kingston Farewell”を聴くと、パーソナルな内容なんだろうけれどなぜか温かい気持ちになる。それはきっと、歌い手と聴き手という立場の違いとは無関係に、心に響く歌声の魅力と力のせいなのだろう。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年11月18日 13:00

更新: 2004年11月18日 17:22

ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)

文/高橋 荒太郎