渋くて味のあるラスタ系アーティストたちがただいま絶好調!!
ここ最近、ジャマイカではラスタ系アーティストたちが元気だ。ラスタの代名詞的DJであるシズラやアンソニーBは超ハイペースのアルバム・リリースを続けているが、両者とも絶好調を維持。なかでもシズラは、2003年作『Rise To Occasion』以降、ガシガシと新境地を開拓している。この号が出たころにはリリースされているはずの(今年4枚目の)新作『Life』も要チェックだ。また好調といえば、ケイプルトンと並ぶヴェテラン・ラスタ・アーティスト、ルチアーノの最新作『Serious Times』もズバ抜けた仕上がり。ネットリとした哀愁の歌唱と渋くて味わい深いトラックが素晴らしい融合を見せる傑作である。そのほかにもジャー・メイソンにタービュランスにブッシュマンに……と、アルバム単位で考えても優れたラスタ系作品が次々とリリースされている昨今だが、その理由として考えられるのは、ここ最近のヒューマン・トラック(打ち込みではない、生バンドによるトラック)の流行があるといえるだろう。やはりヒューマン・トラックにはラスタ系アーティストたちの渋みのある歌声が映えるのだ。
そんな活況を呈した現在のシーンにおいて、現在もっとも注目すべきなのはフィフス・エレメント所属のアーティスト。そのなかからまず挨拶代わりのデビュー作『Better Days』をリリースしたばかりなのがチャック・フェンダだ。どうも抜きん出た個性を発揮しにくいこの手のアーティストのなかでも彼の声は一発でそれとわかる個性があり、なおかつ奇を衒わないストレートな魅力に溢れている。重厚なヒューマン・トラックの乗りこなし方も堂々たるもので、今後の活動に要注意。また、フィフス・エレメントからは目玉ともいうべきリッチー・スパイスのアルバム・リリースが控えており、来年は彼らがジャマイカの勢力図を塗り替えることになりそうである。
そのほかにもジャマイカには、“No Guns To Town”が特大ヒットとなったナッティ・キングや2004年に大躍進を遂げたアイ・ウェインなどもいる。とにかく挙げていけばキリがないほどなのだ。そんなシーンの潮流のなかでリリースされたケイプルトンのニュー・アルバム『Reign Of Fire』。今作が持つ意味は、こんな2004年だからこそ果てしなく大きいのである。
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
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