インタビュー

NOISE McCARTNEY RECORDS

くるり主宰のレーベル〈NOISE McCARTNEY RECORDS〉が、コンピレーション第二弾『NOISE McCARTNEY RECORDS』を2月4日にリリースする。□□□(クチロロ)、古里おさむを輩出した実績を持つ同レーベル。CD不況と言われている現在、〈アーティストレーベルを運営すること〉がどのような意味を持つのか? レーベル社長の佐藤征史氏にじっくりと話を訊いてきました。全曲フルサイズ試聴もお聴き逃しなく!


NOISE McCARTNEY RECORDS社長、くるりの佐藤征史氏

――NOISE McCARTNEY RECORDSを立ち上げるそもそものきっかけはなんだったんですか?

佐藤 レーベルから一番最初に出した越後屋というバンドがいるんですけど。彼らがたまたまくるりの後輩のバンドだったんですよ。音源を聴かせてもらったらすごい面白くて。でも発表する場がなかったので、自分たちで世の中に出してあげられたらと思ったのがきっかけですね。最初はそんなに本気でやろうと思っていたわけじゃなかったんですけど、真面目にやったほうが自分たちにとってもいいんじゃないかと思って。それでレーベルという形をとってはじめることにしたんです。

――音源の募集はどのようにされているんですか? 以前はJ-WAVEの番組で募集されていましたよね?

佐藤 ラジオの番組自体は変わっているんですけど、もう3年くらい続けて今も募集してますね。募集しはじめてコンピを作ることになったんです。前回コンピを作ったときはまだレーベルの名前が知られていなかったせいもあって、関東近郊の方からの応募が多かったんですけど、自分らが『アンテナ』をリリースしたときに全国をツアーでまわって、CDを手売りしたりちらしをまいたりしたんですよ。その影響で全国からテープが送られてくるようになりました。

――言ってしまえば、〈くるり〉という名前だけ貸してレーベルを運営している風に装うこともできますよね。それをしないで地道に自分たちでテープを聴いて判断したり、ツアーでファンに向けて告知をしたりしているのは地に足のついた活動をしたいという気持ちの表れなのかと思うのですが。


アルバムの1曲目に“バイバイジョニー”が収録されたLeon&Grover

佐藤 お金のやりとりからなにから全てをやっているというわけではないし(笑)、言ってみれば半分趣味みたいなものですから。今はCD屋さんに行けば腐るほどCDがあるわけだし、ネットで簡単に買うこともできる。でも、その中からどれを選んだらいいのかわからへんっていう人が沢山いると思うんです。だから、「この店の試聴コーナーに入っているものは当たりが多い」とか、そういう感覚をレーベルとして提供できればいいとは思っています。

――1枚目を出してから送られてくるテープに変化があったと思うのですが。

佐藤 やっぱりラジオで毎週かけているので、どういうものが求められているのかがわかってきたみたいなんですよね。こう言ったらすごい悪いんですけど、聴いてみて「痛いなぁ」と思うようなものだったりとか、あまりラジオでかからないメロコアなんかが最近は来なくなってしまって寂しいんですよ(笑)。


アルバムの3曲目に“二度寝の美学”が収録された24ページ

――音楽的な部分での傾向というのはあるんでしょうか?

佐藤 今は宅録機器の質が向上しているじゃないですか。送られてくるテープのほとんどがハードディスク・レコーディングで録音されたものだと思うんですよ。テープの時代は勝手に音が混ざってくれたけど、ラインで録音したものはそうはならないんです。だから昔よりも宅録でいろんなことができるようになった反面、センスが問われるようにもなってきているみたいですね。

――楽曲として聴かせるためには作曲者やプレイヤーとしての技術以外に、ミキサー的な技術も必要になってくるんですね。

佐藤 そうですね。機材に負けてる人も多いです。ちゃんとした曲があって、それを良く聴かせるために機材を使っている人は送ってくるたびに良くなったりしますからね。あと、聴く時の基準としては自分たちで作った曲に対してちゃんと本気で歌えてるか、という部分が大きいですね。恥ずかしがって歌ったりとか、聴こえへんくらい小さいミックスでヴォーカルを入れているものが送られてくると「そんなんだったら歌わんでええやん」って思うし。インストの曲でも全然いいんですけど、ちゃんと人に聴かせたいと思って努力している部分が見えてこないものは自己満足で終わってしまいますから。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2005年02月03日 18:00

更新: 2005年02月03日 18:18

文/ヤング係長

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