インタビュー

KYOTO JAZZ MASSIVE

デビュー10周年を記念して、国内外の才能たちが集った2枚のスペシャル・アルバムが登場!!


 京都、そして渋谷からワールドワイドへ。沖野兄弟=KYOTO JAZZ MASSIVE(KJM)がこの10年に育んできた日本クラブ・シーンの充実と海外アーティストとのネットワークが、実に豪華な2枚のCDに結実した。まずは海外勢に敬意を表して『FOR KJM』から紹介しよう。こちらは全曲が海外アーティストによる新曲(クラブ・クラシックスのカヴァーを含む)で構成され、ジャズ、ハウス、ブロークンビーツが自在に交通する内容は、現在のKJMのDJプレイを反映したものになっている。沖野好洋がドラム・プログラミングの師と仰ぐフィル・アッシャー作品を皮切りに、アフロ~ブラジリアンなダ・ラータ、ディーゴ、カイディ・テイタム、ドムなどのドープなブロークンビーツ勢からリール・ピープルへと繋がる流れには、西ロンドン人脈のもっとも良質なエッセンスが凝縮されている。また、ニーズやルイ・ヴェガらに繋がる流れには、フュージョンとラテン、4つ打ちへの愛がよく滲むが、なによりもKJMならではの良質なメロディー志向が反映されていると思う。

 そんなKJMの芯がより濃く浮かび上がっているのが、縁深い日本人勢が彼らの曲をカヴァーした『RE KJM』だ。Charaが歌う“Mind Expansions”をはじめ、MONDAY満ちる、UAら個性の強いシンガーたちの歌によって、あらためてKJMの非凡なメロディーセンスが浮き彫りにされている。また、彼らのプロダクション・ワークとしての刺激が福富幸宏やJazztronikらのトラックを刺激していることは想像に難くない。そして、ジャズと日本とそこに沸き立つスピリチュアリティーというポイントにおいて、KJMを媒介に、Sleep Walker周辺が松浦俊夫やCalmとディープに共振していくさまも実に興味深い。

▼このたびリリースされたKYOTO JAZZ MASSIVE関連2作品。

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掲載: 2005年02月24日 12:00

更新: 2005年03月03日 19:39

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/池谷 修一