DJ HAZIME
東京の夜を代表するヒップホップDJが渾身のアルバムをドロップ!! 誰もヤツを止められない!!
「ヒップホップが危うい時代だからこそ、ポップなものを作ってたら先がないし、俺らの好きだったカッコいいヒップホップのアルバムを作りたかった」。
海外も含めた現在進行形ヒップホップの動きにもっとも敏感に反応するのがDJ、ましてやそれが渋谷の大バコに週末のレギュラーを持つDJの話だとすれば、それはもはや暗黙の了解にすら近い。しかしDJ HAZIMEが初めてリリースするオリジナル・アルバム『AIN'T NO STOPPIN' THE DJ』にあってそうした了解は意味をなさない。「弾きモノでイマっぽいビートを作ることに興味はなかったし、どうでもよかった」とまで言う彼がこのアルバムで示したのはヒップホップに脈々と息づくサンプリング・ワークへの愛着であり、最終的にはラッパー勢を絡めて「歌詞カードを見なくても何言ってるかわかるラップ・アルバム」とするのが狙いだったという。どこか懐かしさすら感じさせる作りもまた、まさしく彼の狙いどおり。
「懐かしく思うのは正解。ある意味それを狙って作った。俺ら世代はサンプリングから入ってるから、ネプチューンズがいくら新しいことやっても一生レコ箱に入るかっていったら、そんなことはあんまりナイでしょ。逆に、俺のレコ箱に一生入ってるのはピート・ロックやショウビズ、トライブ(・コールド・クエスト)、デ・ラ(・ソウル)だったりするし。結局そこなんだよね」。
〈さんピンCAMP〉世代を中心に、そこと袖すり合うNITRO MICROPHONE UNDERGROUND周辺や餓鬼レンジャーらまでを迎えた客演陣の人選もまたHAZIMEにとって〈一生もん〉ということか。そうした〈一生もん〉への意識は、「いまのフロアでメジャーものの新作しか受けないのはそこを突っ込まなかったDJのせい」という、自戒を込めたDJに対する彼の思いと繋がっている。本作は彼がDJとしてやってきたことのツケを払う、「種をバラまいて出た芽をもう一度摘む」作業でもあるのだ。シュガーヒル音源をはじめとするオールド・スクール・ミックスCDとの2枚組という本作の体裁も、そうした意識の現われのように映る。
「古いものは絶対じゃないけど、そのなかには未来のヒントがいろいろある。昔を再現するんじゃなく、いまの状況を変えていこうっていう前向きな作業だから」。
▼参加メンツの作品を一部紹介。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2005年02月24日 13:00
更新: 2005年02月24日 19:49
ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)
文/吉原 カオル