インタビュー

Tahiti 80

果敢なチャレンジの末に斬新なビート構築を実現させた意欲作『Fosbury』が登場!!


「今回はわりとノリで、というか瞬発力を持ったアルバムにしたいと思ったんだ。前作に比べてラフなサウンドでね」。

 歌声そのままに、羽根のように柔らかな声で、グザヴィエ・ボワイエー(ヴォーカル、ギター他:以下同)がニュー・アルバム『Fosbury』について語ってくれた。〈Changes〉という作品コンセプトどおり、前作『Wallpaper For The Soul』から変化を遂げたそのサウンド。ギター・ポップを出発点としながらも、ソウル・ミュージックを経由して辿り着いたこの新作には、ヒップホップのフレイヴァーを採り入れた力強いビートが響き渡っている。

「僕らにとって最近重要だったアルバムが2枚あって、それがアウトキャストの最新作『Speakerboxxx/The Love Below』とN.E.R.D.のファースト・アルバム『In Search Of...』なんだ。ヒップホップにはずっと興味を持っていて、今回はそれが全面に出たってことかな」。

 ダイナミックな構造を持つリズム・セクションに、ふわりと絡むシルキーなメロディー。加えて「フィリー・ソウルを意識した」オープニング曲“Big Day”やリンダ・ルイスをフィーチャーした“You Love Shines”には、自分たちに影響を与えた音楽への無邪気な愛情が見て取れるだろう。

「“King Kong”ではマーヴィン・ゲイ“What's Going On”のイントロを意識して、みんなでワイワイやってる音を入れたかったんだ。でも上手くいかなくて。ペドロ(・ルスンド、ベース他)がコントロール・ルームから冗談を言いに出てきたときの盛り上がりが良かったから、それを録った。逆さまにして使ってるから、逆回転にすればそのジョークを聞くことができるかもね(笑)」。

 60~70年代のソウル/ポップスに影響を受けながらも、常に実験的なサウンドメイクに挑戦してきた彼らだが、なかでも本作はバンドのコアな部分が表出したスリリングな仕上がりになった。ちなみにアルバム・タイトルになった〈フォスベリー〉とは、過去に背面跳びを発明したハイジャンプ選手の名前だ。

「彼のジャンプを初めて見た人々は、それをバカにしたけど、最後にはその素晴らしいジャンプが評価された。僕らもリスクを恐れずに自分たちの信じる道を進むことで、いい結果を出していくつもりさ」。

 もちろん今回も、着地は見事に決まってる。
▼タヒチ80のアルバムを紹介。

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掲載: 2005年03月17日 15:00

更新: 2005年03月17日 18:53

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/村尾 泰郎