インタビュー

The Fuzz Picks

〈透明少女〉再臨!? 独自のロック感でひた走る、若き4人組が新作を発表!


 福岡県北九州市。数々のロック・レジェンドを生んだその街は、いまだオールド・スクールなヤンキー文化が盛んな街としても知られている。であるからして、その地に住む、血気盛んな若者の多くは間違いなくヤンキー、もしくはバンドマンのいずれかの道を歩むと言われている(あながちウソでもない)。そんな土地で育まれた4人の少年少女は、もっとも多感な十代のときに(かれこれ7、8年前)、ナンバーガール、PANICSMILE、MO'SOME TONBENDERといった、あまりに刺激的な地元バンドのパフォーマンスを体験し、衝撃を受け、バンドマンの道を選択した。

「地元のバンドにはすごく影響を受けたけど、ウチらはぜんぜん真逆のところにいるんだろうなって常に感じつつやってましたね。あちらから見れば、ウチらは歌謡曲っぽいバンドなんだろうなと思ってましたから。ファースト・アルバムを出したときに、ナンバーガールっぽいって言われたりもしたんですけど、自分が見てきたナンバーガールっていうのは、こんなもんじゃない!って思ってたし」(チダトモコ、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 偉大なる先達からそのスピリットやバンドとしての在り方といったものを学びとり、2000年夏の結成以来、独自のロック感に磨きをかけてきたThe Fuzz Picks。ファースト・アルバム『銀色の灯台』から1年ぶり、このたびリリースされたニュー・アルバムでは、その感覚をさらにキラリと輝かせている。「このタイトルの響きが持つまんまをウチらの音は持ってるって思うんです」というセカンド・アルバム『NEO ROMANTIC』は、ロマンティックが止まらなかった時代の音楽――ニューウェイヴやギター・ポップなど――が持っていたようなポップ感覚やメロウネスを湛えた、実に彩り鮮やかな全8曲。そんななか、チダの無垢なヴォーカルと、独特な響きやそれなりの大人臭さを湛えた詞世界は、特に魅力を増しており、このバンド最大の聴きどころと言えるほどの成長ぶりを窺わせている。

「もともと詩を書くのが好きで、その発表の場が欲しかったからバンドに入ったんです。だから、言葉遣いや響きは、ものすごく意識してきましたね。〈歌う〉っていうことに関しては、薬師丸ひろ子さんを意識してるんです。ふだん、女性の歌ってあんまり聴かないんですけど、薬師丸ひろ子さんはすごいなって。自分もこういうふうに歌えないかなって思うんですよ」。

 薬師丸ひろ子+ギター・ロックなんて、なかなか興味深いバンドがいるものだ……と、この記事をご覧になったみなさんが、心の片隅にでも小さくメモしていただければ、筆者としても幸いである。


The Fuzz Picksのファースト・アルバム『銀色の灯台』(WIN)

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掲載: 2005年03月17日 15:00

更新: 2005年03月17日 18:55

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/久保田 泰平