インタビュー

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シンガーとして、女性として、母として……成長したハミングバードの新しい歌


 ミッシー・エリオットが率いるゴールド・マインドより2002年に『Southern Hummingbird』でデビューしたトゥイート。同作からは“Oops(Oh My)”や“Call Me”がヒット、歌だけでなく優れたソングライティング能力でも知られる実力派アーティストはデビュー作にして恐ろしく高い完成度を見せつけた。そして、GAPやVerizon(電話会社)のCMにまで登場するほどの人気となった彼女が約3年ぶりに待望のセカンド・アルバム『It's Me Again』をリリースした。同作からのファースト・シングル“Turn Da Lights Off”は最近プロデューサーとしての活躍が目覚ましいクワメとミッシーの共同プロデュース。ノスタルジックなサウンドにスクラッチやピアノをちりばめた珠玉の逸品だ。

「こうしたサウンドこそがいまの音楽業界に欠けているものだと思って。家でゆっくりとワインを傾けながら聴けるようなものがね。本当に目まぐるしくいろんなことが起きているなかで、平穏な心を取り戻せるような音楽が必要だと思ったのよ。古いレコードを慈しみながらかけるような気持ちで……ってミッシーとも話してたのよね」。

 人生の苦悩や失恋の痛手などを包み隠さず綴った前作から一転、新作では自己肯定的で前向きな歌詞や曲調が耳を引く。

「このアルバムでの私は〈いままで隠れていたところから出てきたような心境〉とでも言ったらいいのかしら。またひとつ、大人の女性に近づいたの。先日34歳になったばかりよ。恋愛関係で悩んだり、自分自身を見失っていた時代はもう終わり。ようやく地に足が着いた、っていうことでしょうね」。

 この飾らなさが彼女の真骨頂だ。アルバム・カヴァーにもなっている凛とした瞳のごとく、しっかりと前を見据えた頼もしい発言は続く。

「私は女優じゃないし、自分を偽ることには何の意味もない。そのうち化けの皮が剥がれるでしょうし。リアルでいたほうがよっぽど人はリスペクトしてくれるわ」。

 なお、アルバムには15歳になる実の娘とのデュエット“Two Of Us”も収録。彼女のプロ・デビューには難色を示しているという本音に、母親の顔もチラリ。

「あのコにはいまだけしか味わえない若さを謳歌してほしいのよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年03月31日 15:00

更新: 2005年03月31日 18:57

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/渡辺 深雪