インタビュー

21世紀へと受け継がれたシューゲイザーのDNA

 90年代初頭のロック・シーンを轟音エクスタシーで席巻した〈シューゲイザー〉。そんなムーヴメントの代名詞にして永遠の儚美がマイ・ブラディ・ヴァレンタインだ。幾重にも折り重ねられたギター・ノイズが、とてつもなく多くのリスナーを覚醒させた。そんなシーンの残響をコンパイルしたのがコンピ『Feedback To The Future』で、当時のスター選手だったライド、ラッシュ、スロウダイヴらを収録している。

 そして、そのスロウダイヴをトリビュートしたモーの記念碑的コンピ『Blue Skied An' Clear』が2002年にリリース。この頃よりエレクトロニカとシューゲイザーの流れが合流している。そのなかでも異彩を放つドイツのギターは、ハードディスクによる確信犯的マイブラ・サウンドで現在のマスターピースに。

 同じくドイツのウルリッヒ・シュナウスは、シンセを多用した透明感溢れるサウンドで至上の煌めきを。そして、〈かつてはバンドでギターを弾いていた〉というラップトップ・ノイズ界の星、フェネスの複雑かつ優美なレイヤーにもその影響が。異色なところではドイツの音響ユニット、プルーラモンの『Dreams Top Rock』。実験音楽界の要人ケヴィン・ドラムとキース・ロウをギターに、あのジュリー・クルーズを歌い手に配した驚きのシューゲイザー・ポップは、ほの暗いドリーム感と緊張感でオリジナルをよそに新たな高みへ到達。かつてのシューゲイズ君もいまや、爪先ばかりを見つめてはいないのです。

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コンピ『Feedback To The Future』(Mobil

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年04月07日 16:00

更新: 2005年04月07日 18:21

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/久保 正樹

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