インタビュー

Lamp

03年4月にミニ・アルバム『そよ風アパートメント201』でデビューした3人組バンド、Lamp。彼らの3枚目となるアルバム『木洩陽通りにて』は、メンバーそれぞれの〈音楽に対する姿勢〉の頑固さが貫かれた、妥協のない作品として仕上がった。デビュー時より定評のあった男女ツイン・ヴォーカルによるハーモニーはより洗練を誇り、リズム隊と選び抜かれた音色による演奏のグラデーションはこれまで以上に鮮やかな色彩を放っている。〈新世代ポップスの台頭〉が生み出した傑作の裏側をインタビューでご紹介します(こちらの記事は、bounce誌に掲載されたインタビューの別ヴァージョンとなります)。

頑固に、丁寧に紡がれた新作『木洩陽通りにて』から、バンド史上最高のハーモニーが聴こえてくる!


Lamp:左から、永井祐介(ヴォーカル/ベース/キーボード)、染谷大陽(ギター)、榊原香保里(ヴォーカル)

――今回で3枚目のアルバムになるんですが、どんどん楽曲の作りこみが増していると感じました。制作の上でなにか変化はありましたか?

染谷 「ファースト、セカンドと比べても一番レコーディングが辛かったんです。スランプになっちゃう場面が何度かあって。誰かに『いい』って言ってもらうことは確かに嬉しいんですけど、音楽の明確な評価ってないじゃないですか。売れる/売れないっていうのが作る側にとっては結果として一番わかりやすい。前作は、ファーストよりいい内容のものを作った自信があったのに、結果として反応が良くなかった。それで、自分たちがなにを作ったらいいのかわからなくなっちゃって、行き詰まってしまったんです」。

永井 「これまでの作品は『こういうものを作ろう』っていうコンセプトみたいなものがあって。ジャケットなんかも含めて表現しようという意識があったんです。でも今回は最初に3人のモチベーションが下がっているところから出発したので、作り出した段階で作品全体のヴィジョンはなかったんですよ」。

榊原 「『木洩陽通りにて』はジャケットをデザイナーに任せたんです。そのことでバンドの見え方がこれまでとは違うというか、認知度が広がるといいなと思っています」。

――3人とも共通して『どうしたらいいのかわからない』という不安を持って作っていたんですか?

榊原 「そうですね。収録曲を何度も変えたりして、作っては壊すみたいな作業が続きました」。

――実際の作業面での変化もあったと思うんですけど。

永井 「割と自由な環境でやらせてもらったんです。ちゃんと自分をコントロールできる人だったらそれでもいいんだろうけど、僕の場合は緊張感を保てなかったから途中でだれちゃって。自由にやれたおかげでかえってレコーディングが長くなってしまいました」。

――録った音源を採用するかどうかの判断も自分たちでやったんですか?

染谷 「そこが曖昧な部分だったんですよ。永井がオッケーを出すのか、僕がオッケーを出すのかというところが曖昧だったから長くなっちゃったんです。今回のレコーディングのダメな所でしたね」。

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掲載: 2005年05月26日 15:00

更新: 2005年05月26日 20:32

ソース: 『bounce』 265号(2005/5/25)

文/ヤング係長