ファット・ジョーがトップに立っている理由、そしてマスからコアまで広がるネットワーク
ファット・ジョーが勝ち続けてこられた理由を知りたければ、彼の歩みそのものを辿るといい。13歳から裏稼業に足を踏み入れていた彼は、幼馴染みだったダイアモンドDらの影響でマイクを握るようになって更正し、やがて彼らのクルー=DITCに加入する。90年代のNYヒップホップを代表するコアな軍団に在籍することがジョーのスキルを裏付け、ヘッズ連中からの支持を強固なものにしたのは言うまでもない。その一方で、93年のデビュー・シングル“Flow Joe”が全米ラップ・チャートを制覇するなど、わかりやすいハードコアな魅力を備えたジョーは最初からコマーシャルな人気者でもあったのだ。で、人気者ゆえに早くからローカル勢とも偏見なくコラボを重ねており、その結果としてNY勢の凋落を尻目に全米規模の人気をキープできているのだ。さらにはプエルトリカンという血の絆も、ジェニファー・ロペスやタリア、レゲトン勢との絡みに繋がっている。この自然な全方位外交ぶりがジョーを王者たらしめているのだ。
D.I.T.C. 『D.I.T.C.』 Tommy Boy(2000)
無敵集団唯一のオリジナル・アルバム。ジョーの参加は共に故ビッグLと絡んだ“Way Of Life”“Da Enemy”の2曲のみながら、侠気全開なマイク捌きは凄い。
FAT JOE DA GANGSTA 『Represent』 Relativity(1993)
盟友のダイアモンド、ショウビズ、ロード・フィネスらに支えられたDITC色の強い初作。ロブ・スウィフトも参加。
FAT JOE 『Jealous One's Envy』 Relativity(1995)
ヤクザなラップに磨きをかけ、地元の英雄=KRS・ワンやレイクォンらに参加を仰いでヴァラエティーも増した。見事に2作連続でゴールド・ディスクを獲得!
TERROR SQUAD 『The Album』 Terror Squad/Atlantic(1999)
クルーでの初アルバム。故ビッグ・パンや、この後にクルーを去るキューバン・リンクとトリプル・セイスの活躍が目立つのは皮肉だが。
FAT JOE 『Don Cartagena』 Terror Squad/Atlantic(1998)
ギャル・チューンがあったり、パフ・ダディと合体したり、とメジャー度を増した移籍作。テラー・スクワッドの若手も大挙参加!
TERROR SQUAD 『True Story』 Terror Squad/SRC/Universal(2004)
超特大ヒット“Lean Back”を叩き出したクルーでの2作目。レミーを前面に出しつつ、ビッグL&ビッグ・パンという故人2名の助力を得た“Bring 'Em Back”なんてのも。
FAT JOE 『Loyality』 Terror Squad/Atlantic(2002)
トニー・サンシャインとレミーを適所で重用しながらキャッチーに仕上げた傑作、なのにセールスは低迷。クール&ドレーの6曲が完璧!
FAT JOE 『Jealous Ones Still Envy』 Terror Squad/Atlantic(2001)
アシャンティが歌う“What's Luv?”のヒットも相まって大人気となった4作目。ブジュ・バントンが吠える“King Of N.Y.”でクール&ドレーを抜擢!
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