インタビュー

脱退/解散後も〈恐竜たち〉は大暴れ!

 ダイナソーJr脱退後、ル-・バ-ロウにとってのメイン・バンドがセバドーだ。91年の『The Sebadoh』などで披露した〈自分の好きなコト全部やってみたよ〉的音楽性と、宅録的チ-プネス漂う音像の妙が〈ロ-ファイ〉の名のもとに脚光を浴びて、一躍ペイヴメントと並ぶヘタウマ・ヒーローとなる。内省と攻撃性が見事に均衡した96年作『Harmacy』が最高傑作か。 一方、盟友ジョン・デイヴィスと組んだ別ユニット=フォーク・インプロージョンの評価も高い。映画「キッズ」(95年)のサントラに収録された“Natural One”が、まさかのビルボードTOP40入り。その余波を受けつつ制作された97年のセカンド・アルバム『Dare To Be Surprised』は、2人の本気と手抜きのセンスが絶妙な配合をみせた名盤。今世紀に突入後はいまいちパッとしなかったルーだが、今年の初めにソロ名義の新作『Emoh』をリリ-ス。久々のルー節完全復活に歓喜の涙を流したファンも多かった。

 さて、ダイナソ-Jr解散後のJ・マスシスは、2000年にJ・マスシス+ザ・フォグとして活動再開(+ザ・フォグはただ単に〈カッコイイから〉付けたらしく、実際はソロ・ユニット)。ケヴィン・シ-ルズやロバ-ト・ポラ-ドをゲストに招きつつも、どこからどう聴いてもダイナソ-Jrの新譜にしか聴こえない完全無欠のメランコリック轟音ロック傑作『More Light』(2000年)や、続く2002年の『Free So Free』で、かつてないほどの妙なヤル気ぶりを披露している。
▼文中に登場した作品を紹介。

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掲載: 2005年09月08日 12:00

更新: 2005年09月08日 19:08

ソース: 『bounce』 268号(2005/8/25)

文/北爪 啓之

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