〈R&B・ヒッピー・ネオ・ソウル・ロック・スター〉って!?
ラヒーム・デヴォーンが標榜する〈R&B・ヒッピー・ネオ・ソウル・ロック・スター〉という言葉からまず連想したのはシー・ローの音楽性だ。もとよりオーガニックな地平でR&Bとヒップホップとロックをグリッティーに融合させてきた彼だが、嗄れ声のスモーキーなヴォーカルもラヒームに相通じるものがある。また、『The Love Experience』の濃密な空間構築に聴けるドゥウェレとの相似性は彼がヴォーカル・プロダクションを手掛けた“Is It Possible”を挙げるまでもなくあきらかだ。そういう点でいくと、その名も『Soulstar』というアルバムを放ったミュージックや、同じフィリーのビラルが取っているスタンスもその括りで語れるものかもしれない。ミュージックは前述作でローリング・ストーンズ“Miss You”のカヴァーを披露しているし、ヒッピー的なエキセントリシティーを濃厚に覗かせるビラルについては言わずもがな。こうしたネオ・フィリー連中という繋がりなら、新作で〈脱ネオ・ソウル〉を宣言したジャグアー・ライトが志向する豪快なサウンドも同様のものだろう。そして、上記した面々すべてを包括する源泉として挙げられるのは、ラヒーム自身も認めるようにプリンスに相違ない。だからして、『The Love Experience』というタイトルからラヒームにジミ・ヘンドリックス(彼のトリビュート盤『Power Of Soul : A Tribute To Jimi Hendrix』にはシー・ロー、ミュージック、プリンスも参加している!)の影を見い出そうとするのは、決して強引なことではない。
▼文中に登場するアーティストの作品。
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