インタビュー

Transplants

やはりヤツらは本気だった! よりクールに、よりラウドに、よりボーダレスになったサウンドを携えて、西海岸が誇るスーパー・バンドが3年ぶりのご帰還だ!!


 ランシドのティム・アームストロング(ヴォーカル/ギター)と、ランシドのローディーでティムの近所に住むロブ・アストン(ヴォーカル)がいっしょに車に乗っていたある日、ティムが曲を流し、バンド経験の一切ないロブに〈この曲に歌詞を付けてみないか?〉と突如声をかけたことから始まったトランスプランツ。ギター、ベース、キーボード、シンセサイザーと、なんでも器用にこなすティムだが、ドラム・ループやサンプリングでは曲の持ち味が表現できないと感じ、ブリンク・182のトラヴィス・バーカー(ドラムス)を迎え入れて、バンドは3人組に。2002年のデビュー作『Transplants』に溢れていたヒップホップ、スカ、オールディーズ、パンクを絶妙にミックスしたキャッチーでダンサブルなサウンドは、このたびリリースされたばかりのセカンド・アルバム『Haunted Cities』でさらにパワーアップ。「〈ランシド/ブリンクの~〉という説明がもはや不要なほど、トランスプランツの独自の音楽はストリートで広く受け入れられている」とトラヴィス(以下同)は語る。

「新しいことを始めても人は過去の経歴を気にする。それはあたりまえのことだし、〈スーパー・パンク・グループ〉と呼ばれても別に気にしてなかったけど、最近はランシドやブリンク・182のファンだけじゃなくて、トランスプランツのファンが増えてきた。パンク・ロックに限らず、すごく幅広い層のファンに支持されてると思う。フー・ファイターズのツアーのサポートを務めたときも、結構評判が良かったしね。これはサイド・プロジェクトじゃなくて、100%のバンドだっていう思いが最初から強くあったし、そういう情熱もファンに伝わってるんじゃないかと思う」。

 とはいえ、ティムとトラヴィスを擁する限り、活動をしたくても時間が取れないという問題が常に生じてしまう。

「前作を作り終えたあとは忙しすぎてトランスプランツのためにスケジュールが取れず、ツアーができなかった。それがちょっと心残りで。でも、その時点から新作用のアイデアを少しずつ貯めていたし、ちょっとした時間を使ってレコーディングもした。フー・ファイターズのツアーのときも、ツアー・バスの中でロブにドラム・セットを支えてもらいながら叩いて録音した。俺もロブも、前作以上に曲作りに関われたし、幸い俺もティムも今は自分たちのバンドが一段落したから、今回はワールド・ツアーをやる予定なんだ。もちろん、日本を含めてね」。

 今作の特徴としてまず感じたのが、ロブの声に表れる強い怒りとリリックのダークさだ。

「そう、全体的にダークな作品だよね。アルバム・タイトルからもわかるとおり、LAという良い面と悪い面を併わせ持ったリアルな街と、そこでの生活がテーマになっていて、ロブの書くライムには怒りが満ち、バンドのバッド・サイドを表している。基本的にロブが書いた部分はロブが、ティムが書いたところはティムが歌ってるんだけど、ティムのリリックには逆にグッド・サイドが出てると思う。アルバムのアートワークは前作同様、カートゥーンがやってくれたんだけど、決してハッピーな作品ではないと思うし、ダークな感じにしてほしいって頼んだんだ」。

 サイプレス・ヒルのセン・ドッグなど、今回も多くのゲストが参加しているが、前作で顕著だったパンク系のアーティストとのコラボがないのには、なにか理由があるのだろうか。

「ゲストはみんな同じコミュニティーの連中だし、自然な流れで決めるから、前作を意図的にパンク寄りに、今回をヒップホップ寄りにしたわけではないんだけど、同じことを繰り返したくないって気持ちはあったかも。違った面を出したい、もっと新しいことに挑戦したいって、常に思っているからね」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年09月15日 16:00

更新: 2005年09月22日 20:04

ソース: 『bounce』 268号(2005/8/25)

文/権田 アスカ