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インタビュー

SOIL & “PIMP" SESSIONS

強靱なビートを持ったエネルギッシュでダンサブルなサウンドで、世界進出も果たしたクールでヒップな男たち。そんな彼らが鳴らす新しくてド迫力なジャズが、フロアからお茶の間までを震撼させる!


〈ジャズを採り入れた〉や〈ジャズ風の〉ではない。SOIL &“PIMP”SESSIONSは21世紀のジャズそのものであり、懐古と革新を両手に持って未来を切り拓こうとする野心家集団である。2005年12月には同年2度目となるヨーロッパ・ツアーを敢行し、イギリスではBBCラジオ1が主催する〈ワールドワイド・ミュージック・アワーズ 2005〉に参加して〈ジョン・ピール“プレイ・モア・ジャズ”〉部門を受賞するという快挙も成し遂げた。

「〈年間最優秀トラック〉と〈年間最優秀セッション〉の3位にも入って。投票で決まるからリアリティーがありましたね。ジャイルズ(・ピーターソン)が僕らの音をたくさんプレイしてくれて、ヨーロッパで認知されて、いままで自分たちがやってきたことは間違っていないという、形になるご褒美をもらえたことがいちばん大きな経験でした」(社長、アジテイター)。

「ヨーロッパの人はインターネットでEU内の情報を得てるから、そこに日本があっても全然違和感がない。僕ら、壁をブチ壊しに行ったつもりだったんだけど、最初から壁がなかった(笑)」(元晴、サックス)。

 そうした経験で得た自信と熱狂と新たなる挑戦のすべてをブチ込んだ新作『PIMP OF THE YEAR』は、強力無比な4ビートをベースに、ラテン、ファンク、ロック、ワルツ、ディスコなどの要素を柔軟に取り込んだ〈踊れるジャズ〉の一級品だ。しかも1曲ごとにキャッチーで忘れがたいメロディーが必ず用意されているので、身体と頭の両方に深く刻まれて容易に消えることがない。

「○○っぽくというわけではなく、好き勝手にやったらこうなった。どんな曲調でもSOILらしさを出せるようになりましたね」(みどりん、ドラムス)。

「楽器をいろいろ改造して、アルバムのなかでも何回も変わってるんですよ。ネックの角度、駒の高さ、弦も替えたりして、よく聴くと曲によって音が違う。凄く楽しいレコーディングでした」(秋田ゴールドマン、ベース)。

「クォリティー的にはいままででいちばん満足してます。でも機材をいっぱい使っちゃって、ライヴはどうしようかな?と。普段はピアノとオルガンくらいなんだけど、ほかにもいろんなものがバンドのなかで必要になってきたんですね」(丈青、ピアノ/オルガン)。

「またハードルを上げちゃった。どこで息継ぎするの?とか。ホーンは有酸素運動なんで、ボクシングのパンチ・ドランカーの気持ちがわかるようになってきた(笑)」(タブゾンビ、トランペット)。

〈ジャズ〉という音楽に対するいくつかの先入観――古い、敷居が高い、難しい、メロディーがわかりにくいなどという偏見を、きれいさっぱり吹っ飛ばしてくれるSOIL & “PIMP”SESSIONSの音は、テクニックこそ非常にハイレヴェルだが、基本的に開放的でフレンドリーでメロディアスだ。何も心配はいらない。聴けばわかる。

「いま出てるジャズ雑誌って、いまだにチャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンばっかり。それじゃリスナーは育たないし、若い人も入って来ない」(タブゾンビ)。

「新しいことを伝えるメディアやチャンネルは世界中にあるから、みんな自分のチャンネルを持って、良いものを探す価値観を持ってほしいですね」(元晴)。

「国境の壁がないこともわかったし、とにかく日本も含めて世界中のまだ行ったことのない街に行って、パフォーマンスを観てもらって、ジャズというものが堅苦しくなく楽しめるということを広めていくのは変わらない。この6人で出す音のおもしろさを、これからも広い形で提案していきたいです」(社長)。

▼SOIL &“PIMP”SESSIONSの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年03月02日 13:00

更新: 2006年03月02日 19:42

ソース: 『bounce』 273号(2006/2/25)

文/宮本 英夫

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