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インタビュー

The Futureheads

さまざまなアイデアを詰め込んで、より彩り豊富になった彼らが放つ勝負の一枚!


 2004年、〈ポスト・パンク〉というキーワードで括られたさまざまなバンドが現れたが、その先頭を切ってデビューを果たしたのがサンダーランドの音楽更生プロジェクトで知り合ったという4人組、フューチャーヘッズだ。ファースト・アルバム『The Futureheads』ではアンディ・ギルをプロデューサーに迎えて、XTC直系の捻くれたメロディーと絶妙なコーラス、凄まじい疾走感でUKのメディアをノックアウト! さらに昨年の〈フジロック〉で待望の初来日を果たし、圧巻のパフォーマンスを観せてくれた彼らが、ついにセカンド・アルバム『News And Tributes』を完成させた。

 「このアルバムでは、僕たちの成長をカタチにしたかった。ファースト・アルバムとは違う経験のできる作品にしたかったんだよ。音と音の間により隙間があり、質感があり、ギターだけでなく、例えばシンセなんかを駆使して音に厚みを出したかった。アルバムを聴いて〈あきらかにシンセを弾いている〉ってわからないような部分にも、実はシンセが入っているんだ。そういうミックスの手法は前作になかったからね。このアルバムを聴いて〈あれ? ファーストとは違うバンド?〉って思う人がいてもいいと思う。新しいことに挑戦しているって思ってほしかったんだよ」(バリー・ハイド、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 とにかくポップで弾けるようなメロディーがこれでもかと降り注ぎ、湧き出るアイデアを詰め込んだ宝石箱のような傑作! 初期衝動をダイレクトに鳴らしたシンプルでアグレッシヴな前作に比べても音の厚みが格段に増しており、さまざまな音楽スタイルが採り入れられている。まさしく彼らの成長をはっきりと感じることができると同時に、彼らは今作でメディアが作り上げた〈ポスト・パンク・リヴァイヴァル〉というイメージを見事に吹き飛ばしてみせたのだ。

「僕たちは、今作をとおしてそのムーヴメントとは関係ないって証明したんじゃないかな。だってパンク・アルバムじゃないだろ? もし僕たちのことをひとつのムーヴメントに縛り付けたいなら……なんだろうね、 それって怠惰からくるものだと思うな。僕たちの音楽には妥協がないんだ」。

 きっかけはムーヴメントありきだったのかもしれない。しかし、ここから生き残っていくのは本物。そして、『News And Tributes』は〈フューチャーヘッズは間違いなく本物だ〉ということを確信させてくれるのに十分な出来映えである。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年05月25日 21:00

ソース: 『bounce』 276号(2006/5/25)

文/白神 篤史