インタビュー

インディアを育んだアトランタのオーガニックなソウル・サークル

 アンダーグラウンドR&Bを育むアトランタの豊かな土壌。インディア・アリーがメンター的存在となるローネイと出会った場所というだけでなく、多様な仲間と共に才能を開花させたのもこの地だった。時は96年。アトランタに〈プログレッシヴ・ソウル〉を標榜するアースシードというインディー・レーベルが誕生する。そこに集ったのがインディアであり、ジーヴァやシリウスB(・プロジェクト)、ドニー、モニーク・ミラーたちだった。98年には、ジーヴァやインディアの初期作品を含むEPが発表されているが、驚くことに、それらの楽曲は現在のカラーにほぼ等しい。つまりその時点で彼らの個性は完成されていたということだ。このサークルには、ジーヴァ/シリウスBの司令塔であるカーリ・シモンズ(インディアの作品にも制作参加)や、そのカーリが関わるグループのシークや女性シンガーのジュリー・デクスター、ジーヴァに参加しているロンダ・トーマスあたりも入ってくるわけで、音楽性にはそれなりに幅がある。例えばインディアはフォーキーだし、ジュリー&カーリによる極上の新作などはブラジル色が強く、ロンダはよりジャジーといった具合。けれども、生演奏や生っぽさを重視し、歌に関しても生々しさを保持するなど、工業製品の如くツルンとした手触りを求められがちなメインストリーム作品が排除してきた〈揺らぎ〉や〈人間らしさ〉をあえて取り戻そうとする、いわば音楽に対峙する根本的な姿勢に関しては、彼らに共通していると言えるだろう。
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年07月20日 01:00

更新: 2006年07月20日 19:25

ソース: 『bounce』 277号(2006/6/25)

文/荘 治虫

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