インタビュー

Back Drop Bomb

追従者なし! 孤高のミクスチャー集団がニュー・アルバムを発表!! さらに鋭さを増したハイブリッド・サウンドの秘密を紐解いてみよう!


「いい歳して、屁理屈の繰り返しなんですよ(笑)」(Masashi Ojima、ヴォーカル)。
 BACK DROP BOMB流のサウンドの成り立ちについて、メンバー自身はそう語る。しかし屁理屈は屁理屈でも、ここまで予測不可能な展開の連続で楽しませてくれるのなら、大歓迎だ。

「例えば、他のメンバーが出してきたカラーに、僕はまた違うカラーのものを乗っけるっていうのをやっていく、というのが近い。そのコード、そのリズムに合っただけのものだったら、変な話、誰でもできちゃうだろうからつまらないと思うんですよね」(Ojima)。

 メンバー間で起こるアイデアの化学反応により生まれたサウンドは、単にインパクトを与えるハードさだけではなく、聴き手の内部でも二次、三次と新たな化学反応を引き起こさせる。強力なパワーを持った未知の異分子として体内に入り込み、新たな体験をもたらしてくれるのが、3年ぶりのサード・アルバム『breakdawn』である。

 ドラマーの脱退を経ての作品となり、本作のレコーディングでは、堀川裕之(54-71)、そして一瀬正和(ASPARAGUS)がサポートとして参加している。両者ともひと癖あるプレイヤーだが、それも現在のBACK DRO-P BOMBのモードと絡み、モザイク的なビートで楽曲を彩る。前作『NIPSONG』の一体感やラディカルなグルーヴとは違い、本作は個々の持ち味が立体的に際立つサウンドの構造をしている。

「〈アルバム全体でここを重視しよう〉と話し合ったことはないですね、いままで1回も。みんな違うチャンネルでくるんですよ。個人的には、今回はあんまり塗りつけるんじゃなくて、シンプルに――骨組は変わっていないんですけどね、昔と全然。歌にしても、音色にしても各楽器にしても、足すものがなくなったとは思います」(Ojima)。

「いままでに比べれば音数が少ないので、逆にそれぞれの芯、メインがはっきりするっていうことじゃないですか」(Takayoshi Shirakawa、ヴォーカル)。

 意識的な進化というより、4人(+ドラムス)の自在なプレイを際限なく活かせるバンドの容量のデカさを、改めて確認できる。『breakdawn』はそんなアルバムだ。

「プレイする側からしてみれば、対象は別に線を引いてないですからね。いろんなところで聴いてもらえればいいだろうし。それでいろんなフロアを繋げられたりっていうのもありますからね」(Shirakawa)。

 キャリアに胡座をかかず、クリエイティヴな発想を具体化し、聴く者の新たな興奮の回路を開拓する。彼らが先頭を走っている限り、ロック・シーンは安泰だ。

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掲載: 2006年08月10日 13:00

更新: 2006年08月10日 23:14

ソース: 『bounce』 278号(2006/7/25)

文/吉羽 さおり