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インタビュー

オレスカバンド


「中三のときに、たえさんたちがやってたバンドのライヴを観に行って、バンドしたいなあって思ったんですよ。で、ウチがバンドしようぜ!って彼女に話を振ったら」(いかす)。

「そのときちょうどリーダーもいて、トロンボーンできるって言うから、ならスカ・バンドをやろう!って。ウチのなかで管楽器がいるバンドはすべてスカだと思ってたんですよ(笑)」(たえさん)。

 6曲入りミニ・アルバム『俺』でいきなりメジャー・デビューする大阪の現役女子高生6人組のオレスカバンドは、そんな状況下で結成された。

「地元にはウチらのようなライヴ・バンドが多くて、みんな音楽大好き!って感じで、熱くて濃かったんですよ」(リーダー)。

「同級生のバンドもオリジナルをやってたから、バンドってオリジナルをやるもんなんだって思ってた」(いかす)。

 そんな環境のなかでバンドを始めた彼女たちだが、まずはイマイチ捉え切れていないスカという音楽を知るために、全員で大きなスカ・イヴェントに足を運んでみた。

「おっきな男の人が激しく踊ってて、あれは凶器でしたよ(笑)。男も女もここまで汗流して踊る場所があるっていうことが衝撃でした」(もりこ)。

「スカはこんな楽しい音楽なんだな、って印象を持ったまま帰ってきて、さあオリジナルやろう!って」(サキ)。

 で、曲はどんな感じで作りはじめたの?と訊いたところ、「自然に」と全員が口を揃えて答える。

「オリジナルが必要ってことで私が書いてみて、それにたえさんが詞をつけて、〈出来た! じゃあやろう!!〉って。頭の中に出てきたメロディーを、ケータイの着メロ機能で作ってみんなに聴かせたり。いま思うとなぜ曲を作れたのかわかんない。いまもわかんない」(いかす)。

 天才(天然?)ソングライターの誕生だ。

 ライヴハウスから誘われたオレスカバンドは、高校の合格発表直後のライヴから現在に至るまで続く、月2~3回というライヴ活動に入っていく。ほどなくしてスカ・イヴェントからも声が掛かって着実にスカ・シーンのファンも増やしていくが、いわゆる関西ゼロ世代ともリンクするアンダーグラウンドなシーンでも彼女たちは活動するようになる。

「ホントに個性の強い、一度観たら絶対覚えてるっていうような対バンばかりで、客層も30代の方が多くって花火とか爆竹投げたり(笑)」(たえさん)。

「白塗りで包丁持ってたりとか(笑)」(サキ)。

 そこに集う怪しいバンドや観客に大きな衝撃を受けつつも、「お客さんが濃いから自分たちを濃くしてくれた」(サキ)というように、〈見せる〉というエンターテイメント性をそこで育んでいき、オレスカバンドの客層は他に類を見ない幅広くユニークなものとなっていった。

『俺』で聴ける楽曲たちの特長は、そんなライヴという現場で培われてきた高度で斬新なアレンジとタフでキレのあるバンド・サウンド、それに激キャッチーでポップなメロディーだといえるが、何よりも彼女たちのライヴ・パフォーマンスと同様に凄まじくポジティヴなエネルギーとパワーに溢れていることがいちばんの魅力だろう。カンタンに言えば、底抜けに陽気で観るほうも演るほうも楽しくてしょうがないってな具合なのである。 

「こういうジャンルをやってる、っていう意識は特にないけど、老若男女すべての人に聴いてほしい!」(いかす)。

「これからもオレスカバンドは、やりたいことだけをワガママにやっていきます(笑)!」(リーダー)。

 古今東西ジャンルを問わず、さまざまな音楽を聴くのも観るのも大好きで、音楽を演るのも好きで好きでしょうがない天然の音楽好き集団=オレスカバンドは、満面の笑顔を浮かべながら元気いっぱいに日本のポップ・ミュージックを明るく革新していくであろう大型新人ですよ。

PROFILE

オレスカバンド
いかす(ギター/ヴォーカル)、たえさん(ドラムス)、とみ(ベース/ヴォーカル)、もりこ(サックス)、サキ(トランペット)、リーダー(トロンボーン)から成る平均年齢17歳の6人組。正式バンド名は〈オレたちカスカスアメリキャンローソンスカバンド…with カッターシャッツ〉。2003年5月に大阪・堺市で結成され、翌年から本格的にライヴ活動を開始。2005年に自主制作盤『ペンパル』を自主販売し(現在は完売)、コンピ『通天MUSIC -関西早耳アワード- vol.2』にも参加。さらに、リコ・ロドリゲス『Japa-Rico -Rico Rodriguez Meets Japan』への参加を経て、このたびファースト・ミニ・アルバム『俺』(ソニー)をリリースしたばかり。7月30日には〈フジロック〉にも出演する予定。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年08月17日 01:00

更新: 2006年08月21日 14:32

ソース: 『bounce』 278号(2006/7/25)

文/ダイサク・ジョビン