こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

THE K.B.C.

UKロック好きの間で話題騒然! 突如シーンに現れた驚異の新人、K.B.C.って何者なんだ?


 パソコンの前に腰を下ろして1時間半が経過。この素晴らしすぎるサウンドをどう表現したらいいものか、思案に暮れてしまった。どんな賛辞も文字にした途端にチープなものに感じてしまうほど、凡百の麗句では讃えられない説得力を持つ楽曲の数々。アルバム・デビュー前にしてすでに話題沸騰中のバンド、K.B.C.の登場である。

「K.B.C.は〈Killer Beans Of Calabar(カラバール地方に伝わる死の豆)〉の略。古代西アフリカの伝説によると、罪深い人間がこの豆を食べるとその毒に耐えられずに死んでしまう。逆に無実の人間は生き延びるらしいんだ。3年前にこの豆に関する記事を読んでおもしろいと思って、バンド名に使うことにしたんだよ」(ジミー・マルホーランド、ヴォーカル/ギター/キーボード:以下同)。

 奇妙な伝説をバンド名とする彼らは、生み出すサウンドも極めて独創的である。斬新すぎるギター・リフも、柔軟に爆発するベース・ラインも、手数の多いドラムが生むダンス・ビートも、ポスト・パンクやマッドチェスターの影響を強く感じさせるが、まだまだ複雑な隠し味が効いている。

「俺たちが好きなアーティストはコーラル、マーヴィン・ゲイ、ストーン・ローゼズ、ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスといったところかな。彼らからのインスピレーションが、結果として俺たちの作り出す曲に現れているのは事実だよ。ここ数年でシーンに現れたバンドでは!!!やラプチャー、ロングカットなどからも多大なインスピレーションを受けている。俺たちがめざすダンス・ミュージックを強くルーツに持った音楽だね」。

 ソウル・ミュージックをタイトなポスト・パンクに解釈してみせるテクニックは、まさにUKならではと言える。

「プレストン出身の俺たちが、荒削りなサウンドでUSを意識する意味はないからね。自分のスタイルで歌うことが大切だと思ってるし。俺たちが常に意識しているのは、人々がダンスフロアで狂ったように踊れる曲を書き続けること!」。

 中古市場では法外な値段で取引されているいくつかのシングルも、このたびリリースされたミニ・アルバム『Boxed Beats and Shelved Rhythms』にすべて収録。爆発寸前の需要にようやく供給が追いつくのだ。

「そこまで僕たちの音楽を求めてくれるのは嬉しいね。フル・アルバムの曲も、実はもうほとんど出来上がっているんだ。あとは仕上がりに磨きをかけて、周囲の反応を楽しむだけ! きっと世界中が驚くと思うよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年09月21日 14:00

更新: 2006年09月21日 20:28

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/冨田 明宏