インタビュー

Radio Caroline

変幻自在のロックを鳴らすニュー・アルバムに込められた思いとは?


 ロックンロールの醍醐味とは何だろう? スピード、昂揚感、危うさ……Radio Carolineは、 ロックンロールのカッコ良さをいまもっとも体現している3ピース・バンドのひとつと言えるだろう。彼らのニュー・アルバム『HEAVY GLITTER』においても、極限まで張り詰めた空気のなかで、その美学を改めて提示してくれている。

「もちろん前作の『ALL-OUT』から続いてる感じはあるんですけど、前進もできたような気がします」(楠部真也、ドラムス/ヴォーカル)。

「今回に関してはライヴでやった曲は、構成からなにから劇的に変わった曲が多かったような気がする。ライヴをきっかけに、いらないトコを切ったりね。曲の雰囲気も全部含めて」(ウエノコウジ、ベース)。

 という言葉もあるように、今作は活発なライヴ活動によって熟成させていった楽曲も少なくないとのこと。ウエノの持つラフでワイルドなガレージ・テイストに加えて、楠部のヴォーカルがそこはかとない哀愁を感じさせる“STRAWBERRY TOWN”やPATCH(ヴォーカル/ギター)が空虚さを見事に描き出す“TOMATO”など、それぞれの曲の世界観がクッキリと際立つ仕上がりとなっていて興味深い。

「基本は変わらないんだけど、それをどう見せるか、どう表現するかってのは考えたかな。そうゆう振り幅を設ける、というか。例えば“LAZY”って曲だったらここまでやっちゃって良いんじゃないか、みたいな」(PATCH)。

「今回はヴァラエティーに富んでいるというか、より聴き応えのあるアルバムになったんじゃないかなと思いますね」(楠部)。

 クールでハードボイルドな情景のみならず、さまざまな光が乱反射する世界でさらにギラギラとした色彩を感じさせる楽曲たち。個性豊かな3人の世界が合わさって生まれる、いうなればRadio Carolineなりのグリッター感をぜひ堪能してほしい。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年09月28日 20:00

更新: 2006年09月28日 22:51

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/駒井 憲嗣