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インタビュー

Blue King Brown

踊れるビートと親しみやすいメロディーで、早くから話題になっていた彼らから、待ちに待ったファースト・アルバムが到着した! さぁ、立ち上がって出迎えよう!!


 2006年5月に行われた〈Green Room〉ではフェスのトリに相応しい陽気でエキサイティングなステージを披露してくれた、オーストラリアはメルボルン出身のブルー・キング・ブラウン(以下BKB)。このたび彼らのファースト・フル・アルバム『Stand Up』が日本でもリリースされることとなった。コレが〈Green Room〉で体感した、魂を解放させるグルーヴをそのまま閉じ込めたような仕上がりなのだ。

「だいたいレコーディングする時はライヴの演奏とは違うアプローチを試みるんだけど、このアルバムではBKBの〈いま〉をキチンと捉えられたと思ってるよ」。

 こう語るのは、バンドのリーダー的存在であるベースのカルロ・サンストーン(以下同)。彼とナタリー(ヴォーカル)がパイロンベイで出会ったことをきっかけにBKBは結成された。すでにマイケル・フランティ・アンド・スピアヘッドやダミアン・マーリーらとライヴ共演を果たし、地元では絶大な支持を獲得。そんな彼らのファースト・アルバムは、パーカッションの響きが否応なしに興奮度を上昇させてくれるファンク・ナンバー“Come And Check Your Head”と、続くレゲエのビートが心地良い表題曲で幕を開け、ラテンやアフリカなどさまざまな民族音楽を用いたグルーヴが印象的なダンス・チューンや、壮大な大地の息吹を感じさせる感動のアコースティックなナンバーを搭載した色彩豊かな一枚だ。どの曲も真夏の太陽のような燦々とした光をまとっているが、それぞれに異なる生命を宿している点が興味深い。その結果、聴いているだけでいろんな世界/時間を旅している気分を味わえるのだ。

「僕らはいろんな音楽スタイルを混ぜるのが好きなんだよね。いろんなものからインスピレーションを受けているからさ。それらの要素を融合させてモダンなアプローチで表現しているのが、BKBの特徴といえるんだ。自分たちで聴いててもこのサウンドは独特なものだと感じているよ」。

 しかし独特のビートを展開する反面、「僕らはメロディアスな音楽を作ることも大切だと思っているからね」と語るように、メロディーは明快で直接心に響くものばかり。彼らがなぜメロディーを大切にしているかいうと、歌詞(メッセージ)を世界に発信したいという強い気持ちがあるからだそう。そんなわけで、本作にも彼らの真摯なメッセージが随所で散りばめられている。

「僕らは世界で起こっているさまざまな問題に、何かポジティヴな変化をもたらすような音楽を作りたいと常に思っている。今作にも、〈世界の不正に対して団結して立ち上がろう〉〈すべての人々の平和と自由のために戦おう〉っていうメッセージが込められているしね。音楽はポジティヴな想いを人々に届ける最高の手段だと信じているんだ。これからもそういうメッセージを発信してきたい」。

 そんな彼らの力強いメッセージを伝えるナタリーの歌声は、強さを持ちながらも、優しさやセクシーさを備えている。どこかローリン・ヒルを彷彿とさせるソウルフル・ヴォイスが、聴く者の心を奪うのだ。

「ナタリーの歌声はリアルで生っぽいというか。それが僕らの音楽には完璧にフィットしているんだ」。

 最後に、「BKBは今後も〈リアル〉を伝えていくバンドであり続ける」と加えたカルロ。

「そして間違いなくバンドの人数はもっと増えるだろうね。僕らは大所帯バンドが大好きなんだよ。パワフルだからね。ツアーも大好きだし、これからずっと世界中をツアーしたいとも思っているよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年02月08日 18:00

更新: 2007年02月08日 20:22

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/松永 尚久